段階的アクションの提案
以下には、イノベーションを促進するメンターシップの大いなる恩恵を手にするために、個人と組織は以下のことを検討すべきだ。
個人としてすべきこと:
1. ニーズを定義する:いま壁にぶつかっているのは、具体的にイノベーションのどの分野なのか? どんなスキルを伸ばしたいのか? 求めているものを明確化しよう
2. メンター候補を絞る:既存のネットワークや業界内のつながり、LinkedIn(リンクトイン)などのオンラインプラットフォームから、候補を探そう。目を向けるべきは、あなたが憧れるような仕事をしてきた人物、あなたの目標に合致する経歴をもつ人物だ
3. 思慮深くアプローチする:「私のメンターになってほしい」などと、ただ求めることはやめよう。まずは自己紹介し、相手がしてきた仕事になぜ憧れているのかを説明し、具体的で限定的な最初の意見交換を提案しよう(例:「30分間のバーチャルコーヒーミーティングで、Xについて議論できないか?」「ヘルスケア分野での生成AIに関する上場計画を練るのに力を借りられないか?」)。あなたがメンターシップ関係において、どんな価値を共有する用意があるかを示すことも重要だ
4. しっかり準備し、時間を尊重する:具体的な質問を用意しよう。時間を守ろう。迅速なフォローアップも忘れずに
5. よきメンティーになる:フィードバックをオープンに受け入れ、自分のコミットメントについて責任を持ち、メンターが時間を割いて洞察を共有してくれることに感謝しよう
6. 学びを生かし、ほかの誰かのメンターになる:知識を強化し、イノベーションの実現能力を築くベストな方法は、これまで受けた恩をほかの人に分け与えることだ。インフォーマルな形でもかまわない
組織としてすべきこと:
1. メンターシッププログラムを制度化する:社内メンターシップのための明確な構造、ガイドライン、マッチングプロセスを確立しよう。メンターシップがイノベーションのKPI(重要業績評価指標)にもたらす効果を数値化しよう。具体的には、アイデアを形にする速度、試験運用までの時間、社内昇進率といったものだ
2. メンターとメンティーの研修を実施する:効果的なコミュニケーション、目標設定、フィードバック提供に関する研修を実施し、メンターシップ関係の効果を最大化しよう
3. メンターシップを人材育成に組み込む:メンターシップを、リーダー育成とキャリア発展の中核要素の1つに含めよう
4. メンターの貢献を認めて報いる:メンターのかけがえのない貢献を称え、積極参加とコミットメントを促そう
5. 学習のカルチャーを培う:教えを求めることや、教えを授けることが許され、積極的に推進され称賛される環境を構築しよう
6. テクノロジーを活用する:メンターシッププラットフォームを活用してプログラムの規模を拡大し、多様なチームや地域間での関係構築を促そう
メンターシップをイノベーションの原動力に
メンターシップは、イノベーションの知られざる原動力として、今なお健在だ。メンターシップの価値を認め、組織として一貫して支えることで、どんなツールを単独で導入するよりも速く、可能性を進歩に変えられる。
適切なメンターがそばにいれば、革新的な取り組みに着手するにあたって、知識やリソース、洞察やアイデアの豊かな源泉にアクセスできるはずだ。


