キャリア

2025.08.14 15:00

資金調達7倍・成長3.5倍、「信頼できるメンター」がビジネス革新と成功を引き寄せる

メンターシップを通じたイノベーションは双方向

自分にぴったりのメンターを見つけるには、ある程度の積極性が必要だ。素晴らしいメンターは惜しみなく与え、相手を助けるものだが、あなたの方からも何らかの努力をしないかぎり、あなたのメンターを務めてはくれない。

数々の人気化粧品を開発したジンジャー・キングは、ポッドキャストのインタビューで次のように説明している。「誰かにメンターになってもらいたいと思うなら、彼らがあなたのために何をしてくれるかだけでなく、自分が彼らのために何ができるかも考えるべきだ。(中略)確かに、メンターを探すことは極めて重要だ。けれども、人の時間は限られているので、ただメンターになってほしいと頼むだけではダメだ。助けが欲しいなら、お返しに自分の価値を相手に提供する必要がある」。

キングは、ソーシャルメディアやイベントへの参加を通じて、デイモンド・ジョンとのメンターシップ関係を築いた。ジョンは、投資リアリティ番組『シャーク・タンク(米国版『マネーの虎』)』に投資家として出演している人物だ。

キングは、ジョンに対して自身の価値を提供することに力を入れた。例えば、ジョンからインスタグラムで生分解性キャップについて尋ねられたときには、有益な答えを示した。このソーシャルメディア上のやり取りは、以前のやり取りからすでに関係が構築できていたため、ジョンがキングに別件での相談を持ちかけたという形だった。

実際、メンティー(メンターの教えを受ける人)は、新しいツールやテクノロジーに関する知識や経験、バックグラウンドに由来する多様な文化的視点、有益なフィードバックを通じたメンターの盲点の指摘といった形で、自身の価値を提供できる。積極的かつ適切に育まれたメンターシップ関係は、教える側と教わる側のどちらにも成長をもたらす。

メンターシップの未来像

将来に目を向けると、イノベーションを培うメンターの役割は、ますます必要不可欠で多様なものになるだろう。例えば、以下のような形が考えられる。

AIによって強化されたメンターシップ

AIは、人間のメンターに取って代わるのではなく、メンターシップを補強する存在として、ますます重要になると予想される。AIは、スキルや目標、さらには性格特性に基づき、メンターとメンティーの理想的なマッチを特定するのに役立つ可能性がある。また、AIがパーソナライズされた学習過程を提示し、有益なリソースを提案し、アイデアへの初期段階のフィードバックを示すことで、人間のメンターが、より深い戦略的な意見交換に専念できるようになるかもしれない。革新的な概念をメンターに提案する前に、AIが「事前スクリーニング」を行い、想定される弱点を指摘する、というようなかたちだ。

高度に専門化したマイクロメンターシップ

テクノロジーの専門化と分野横断が進むにつれ、「マイクロメンターシップ」、すなわち高度にニッチ化した分野における専門家との、密接な短期集中型のやり取りが増加すると予想される。1人のメンターと長期的関係を結ぶのではなく、マイクロメンターのネットワークを構築し、量子コンピューティング、合成生物学、先端AI倫理といった具体的な課題に関する助言を求める、というスタイルが選ばれる可能性がある。

グローバルかつオンデマンドのメンターシップネットワーク

地理的障壁の解消はますます進むだろう。人々は、真にグローバルなメンターの人材プールにアクセスできるようになり、とりわけ急速に進化する分野における具体的な疑問や課題に応じて、オンデマンドの対応を受けられるようになるはずだ。このような形で、以前は居住地やネットワークによって制限されていた専門知識へのアクセスは民主化されるだろう。

リバースメンターシップの主流化

リバースメンターシップとは、若いデジタルネイティブの社員が、新しいツールやソーシャルトレンドに関して、年上のリーダーのメンターを務めることを指す。新しいテクノロジーが我々の仕事と生活の多方面にさらに浸透するなかで、このようなスタイルは今後ますます支持され、一般化し、必要とされるようになる可能性がある。

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翻訳=的場知之/ガリレオ

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