映画

2025.08.15 17:00

泣ける実録から心理ホラーまで、Netflixのベスト映画10本 批評サイト「ロッテントマト」で高評価

『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』(© 2024 Netflix, Inc.)

『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』(© 2024 Netflix, Inc.)

Netflixで批評家から最も高い評価を得ている映画を取り上げるたびに、私はその脈絡のなさにいつも驚かされる。というのも、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』や『レゴ ムービー』のように、ほぼ満場一致で批評家の支持を得た有名な大作映画もいくつかある一方で、候補作のほとんどは一般大衆が聞いたこともないような映画である傾向があるからだ。今回このリストに加える作品もまさにその通りだ。地政学的な緊張を解き明かすペルシャの心理スリラーから、老いの現実を描いた心温まる武術映画、社会の最も暗い秘密に光を当てる調査ドキュメンタリーまで、Netflixには批評家以外にはほとんど見られていない素晴らしい映画が常に眠っている。

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さて、今日はその状況を変えていこう。以下に、映画批評サイト「Rotten Tomatoes」(ロッテントマト)で100%に近い、あるいは100%を達成した10本の映画をリストアップした(このリストで最も評価が低い映画でも、同サイトで97%のスコアを記録している)。安心してほしい。これらの映画は、私が過去に紹介したものとは一切重複していない。このリストの各項目では、予告編とともに、あらすじと批評家の心を掴んだ理由を紹介する。多様な嗜好に応えるラインナップであり、批評家が「Netfixのベスト・オブ・ベスト」に数える、まだ有名ではない作品群を発見する機会になるはずだ(なお以下の並び順はランキングではない)。

訳注:本稿には現在日本のNetflixでは視聴できない作品も含まれている。そうした作品には注記を添える)

1.『アンダー・ザ・シャドウ』(Under the Shadow)(2016):92レビュー — 99%支持率

まず、Rotten Tomatoesでほぼ満点のスコアを獲得した作品の中で、最も知名度が低いと思われる映画から始めたい。『アンダー・ザ・シャドウ』だ。本作の脚本・監督を務めたのはイラン生まれの映画監督ババク・アンヴァリであり、彼はホラーへの愛と、イラン・イラク戦争の時代に育った記憶を組み合わせ、Netflixで観られる作品の中でもユニークなジャンルの融合(マッシュアップ)の1つを生み出した。ペルシャ神話、特に子供たちに語り継がれる風に乗って移動する精霊「djinn(ジン)」に関する民間伝承に着想を得て、アンヴァリは1つの脚本を書き上げた。

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物語は1980年代のテヘランを舞台に、左派政治組織に関与したことで大学から追放された元医学生のシデー(ナルゲス・ラシディ)を追う。戦争が激化すると、彼女の夫イラジ(ボビー・ナデリ)は前線に送られ、シデーは娘のドルサ(アヴィン・マンシャディ)と2人きりで家に取り残される。戦争が激化する中、ドルサは「ジン」、すなわち邪悪な精霊が自分たちの住むアパートに取り憑いていると感じ始める。『ババドック 暗闇の魔物』を彷彿とさせる物語の中で、シデーは娘を危害から守るため、超自然的な現象と心理的な現象の区別を強いられるにつれて、奇妙な出来事はエスカレートしていく。

Rotten Tomatoesの批評家たちは、アンヴァリが超自然的な存在の登場を最小限に抑え、多くを観客の想像に委ねている点を評価している。その結果、アンヴァリは自身が育ったイラン社会を映し出す鏡のような映画を制作し、シデーの孤立を通して、野心や自己表現がしばしば抑制された革命後のイランで女性に課せられた制約を探求している。

 2.『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』(Wallace & Gromit: Vengeance Most Fowl)(2024):137レビュー — 100%支持率

クレイアニメーションシリーズ「ウォレスとグルミット」の生みの親であるニック・パークは、2024年、約20年ぶりとなる長編映画『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』で、批評家に称賛される作品の連続記録を更新した。彼の短編4作品――『チーズ・ホリデー』(A Grand Day Out)、『ペンギンに気をつけろ!』(The Wrong Trousers)、『ウォレスとグルミット、危機一髪!』(A Close Shave)、『ウォレスとグルミット ベーカリー街の悪夢』(A Matter of Loaf and Death)――はすべてRotten Tomatoesで100%のスコアを誇り、もう1つの長編映画『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(The Curse of the Were-Rabbit)も95%という高評価を得ている。当初は30分の短編として構想されていたが、本作はパークと共同監督のマーリン・クロッシンガムが物語を発展させるにつれて規模が大きくなり、ウォレスとグルミットにとって初の長編作品での100%スコア獲得につながった。

脚本は、発明家のウォレス(ベン・ホワイトヘッド)と彼の愛犬グルミットの典型的な冒険を彷彿とさせる。ウォレスは、庭仕事を手伝うための「Norbot」という名の賢いロボットノームを発明する。しかし、ほどなくして悪名高いペンギンの犯罪者フェザーズ・マッグロウ(『ペンギンに気をつけろ!』で初登場)がNorbotをハッキングし、彼の悪事を実行させるべく、復讐に燃える庭のノーム軍団を組織するように再プログラムしてしまう。ウォレスとグルミットは、マッキントッシュ警部(ピーター・ケイ)と彼の若き弟子であるムカジー巡査(ローレン・パテル)と共に、フェザーズの計画を阻止するために乗り出す。

2023年に供給業者が閉鎖したことで、粘土不足の懸念に直面したAardman Animations(アードマン・アニメーションズ)は、それにもかかわらず、その特徴である手触りの感じられるストップモーションの職人技を披露した。批評家たちは、完全に作り込まれた愛すべき面白いキャラクターたち、そして視覚的なジョークや小道具、言葉遊びに満ちた環境を絶賛した。

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翻訳=酒匂寛

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