働く人の多くが、キャリアアップの過程で遭遇するシナリオがある。新しい肩書きと、さらなる責任を伴った昇進を打診されることだ。ときには、経営陣の一員という立場をオファーされることもあるかもしれない。ただし、話はそううまくいかず、昇進はしても昇給はない、と言われてしまうケースがある。
表面上は、とても断われないようなチャンスに思えるかもしれない。キャリアの階段を1つ昇り、いずれは、より多額の報酬を得られる可能性がある。ただし、喜びの裏側には、容易に答えを出せない疑問が隠れている。これは本当に昇進なのか、それとも、立派な肩書はつくが仕事が増えるだけなのか、という疑問だ。
答えを出す前に、まずは、1歩下がってオファーを客観的に検討しよう。そして、自分のキャリアにとっては「イエス」と答えるのが正しいのか、「ノー」と断わった方がいいのか、あるいは交渉すべきなのか見極めてから決断を下そう。
「昇進」の本当の意味を理解する
昇進といっても、すべてが等しいわけではない。肩書が変わったのに、それに伴って給与が上がらない場合は、状況によって意味が大きく変わってくる。
昇進のオファーは、実際に能力を認めてもらっていることの表れであり、将来的に金銭的な報酬獲得への道が切り開かれる場合もあるだろう。その一方で、企業側が人件費を増やさずに、あなたという人材からより多くの価値を引き出そうとしているだけかもしれない。
まずは、疑問を持つこと
まずは、疑問を持つところから始めよう。
・新しい肩書きは、正式な昇進として社内で認識されているものか。それとも、どちらかというと横滑りの人事で、仕事量が増えるだけなのか
・新しい肩書きによって、注目度や影響力、経験が増し、他社でのキャリアアップに役立てられるか
・この肩書きには、柔軟な勤務形態や、研修を受ける機会、経営層との人脈構築といった、金銭以外のメリットが伴うか
その昇進が、実際にキャリアアップへの足掛かりとなるのか、あるいは、仕事量を増やすための巧妙な見せかけにすぎないのかを見極めれば、より迷うことなく決断を下せるだろう。



