宇宙

2025.08.13 18:00

ブラックホール探査計画、超軽量宇宙船でアインシュタインの一般相対論を検証

恒星質量ブラックホールを描いた想像図(European Space Agency, NASA and Felix Mirabel (the French Atomic Energy Commission & the Institute for Astronomy and Space Physics/Conicet of Argentina) )

恒星質量ブラックホールを描いた想像図(European Space Agency, NASA and Felix Mirabel (the French Atomic Energy Commission & the Institute for Astronomy and Space Physics/Conicet of Argentina) )

クリップくらいの重量しかない超軽量探査機がレーザービームで打ち上げられ、知られている最も近くのブラックホールを目指して光速に近い速度で飛行する100年の旅に出る。無事に到達できれば、事象の地平線(引き返せなくなる境界線)そのものの近くから観測データを地球に送信する。ここを過ぎるとブラックホールの重力に永久に引き込まれてしまうのだ。

これは「アルバート・アインシュタインは正しかったのか」という科学の根本的な問題に対する答えを追い求めている天体物理学者が提案した驚くべき探査計画だ。

ブラックホール探査:アインシュタインの理論を検証

中国・復旦大学のブラックホール専門家のコジモ・バンビは、この探査計画を「推測に基づく」かつ「困難を伴う」もので、さらに費用が約1兆ドル(約148兆円)に上ると説明するものの、人間の寿命の範囲内でブラックホールに到達できる探査計画の策定が可能になる日も近いと考えている。

学術誌iScienceに7日付で掲載された論文の中で説明されているバンビの構想では、地球から照射するレーザーを推力とする本体重量1gのナノクラフト(超軽量宇宙船)を探査機として用いる。探査機の任務は、1915年に発表されたアインシュタインの一般相対性理論の限界を検証することだ。一般相対論は、質量が存在すると時空が歪み、その歪みに沿って質量が移動すると考える。さらには、ブラックホールの存在を予言していた。

ブラックホール探査に用いられるナノクラフト(超軽量探査機)を描いたイラスト(Bambi, iScience 2025)
ブラックホール探査に用いられるナノクラフト(超軽量探査機)を描いたイラスト(Bambi, iScience 2025)

探査機が収集するデータは、一般相対性理論と物理法則に関する科学者の理解に変革をもたらす可能性があると、バンビは主張している。

ブラックホール探査:目的地

ブラックホールは、光を含むあらゆるものが脱出できないほど強力な重力を持つ天体によって生じる時空の領域だ。天の川銀河(銀河系)の中心には、超大質量ブラックホールのいて座A*(Sgr A*)がある。直径は約3500万kmで、太陽系から約2万7000光年の距離にある。2024年3月には、いて座A*の端から渦巻き状に広がる強い磁場による偏光(偏波)を捉えた画像が新たに公開された。この偏光画像は、遠方銀河M87の中心にあるブラックホールを捉えた2019年公開の画期的な画像と、2022年公開のいて座A*の画像に続くものだ。

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翻訳=河原稔

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