欧州

2025.08.10 09:00

トランプの「39%関税」にスイス激震 引き下げ交渉の行方は

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そこで望まれるのは、スイスが最終的に欧州連合(EU)型の「合意」、つまり、巨額の対米投資といういささか空疎な約束をして、関税率を15%に抑えるという取り決めをまとめることだ。

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外交的な観点からすれば、これまでスイスがどれほど米国の利益に寄与してきたかを考えれば、今回の措置はホワイトハウスによる自滅行為だと断じざるを得ない。この一件によってスイスがEUに近づくかどうか(もちろん貿易面で。スイスがEUに加盟するという話ではない)については、記事執筆時点ではそれを示唆するような動きはない。

EUはトランプと7月末に英スコットランドで合意した内容の文言について、ホワイトハウスの同意を得るべくなお努力している。欧州の自動車業界は言うまでもなく、蒸留酒業界もロビー活動を続けている。合意はまだ完全なものではなく、各加盟国が実行していく必要もある。

また、欧州(とくにアイルランド)の半導体企業や製薬企業の場合、分野別関税の脅しをめぐる不確実性も残っており、欧州企業が行うとされる6000億ドル(約89兆円)の対米投資についても不透明感がある。分野別関税が厳しければ合意への反発が強まりかねず、合意が破綻する可能性も高まってくる。

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forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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