経済・社会

2025.08.19 15:15

「共創都市・渋谷」への挑戦。次の10年、渋谷が世界に示すべき都市モデルとは?【後編】

左から筧、有福、長谷部、嶋本、加生

長谷部 健(以下、長谷部):渋谷もこの10年で大きく変わりました。たとえば観光面では外国人を含む観光客が急増し、それに伴う新しい課題が生まれてきました。これまでの10年を大切にしながら、次の10年をどう描くか、まさに意義のある時間だなと思います。

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今後の軸である「サーキュラー」はもちろん重要なキーワードですし、また渋谷区では北欧の事例もいろいろ参考にしています。たとえばフィンランド発の子育て支援制度・施設である「ネウボラ」も渋谷版にアレンジして取り入れていますし、デンマーク大使館も渋谷にあるので、インスピレーションを受けています。

「つなげる30人」のように、一人ひとりの“やりたい”が小さく積み重なって、結果的に大きなインパクトにつなると思うので、いきなりホームランを狙うより、“ヒット”を積み重ね、地道に長く続けることで都市はじわじわと、でも確実に変わっていくんだと思います。

嶋本吉久(以下、嶋本):これからはサーキュラーであれ、イノベーションであれ、都市間の連携やネットワークが鍵になると思います。

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近年は東京一極集中の是正も大きなテーマになっており、地方と都市との関係をどう再構築するかという関係人口の視点です。そこに渋谷がハブとして、ネットワークとしてどうかかわっていくかも問われていると感じます。

長谷部:関係人口については、防災の文脈で考える機会が増えました。以前は「区民が渋谷から避難する」という前提がほとんどなかったのですが、能登半島地震で受験生が避難する光景を見て、このままでいいのかと考え直したんです。

そこで、2024年からは甲州街道沿いの甲府市や茅野市、そして東北道方面の宇都宮市、郡山市の4都市と災害時相互応援協定を結ぶ取り組みを始めました。100〜200km圏内であれば、自力避難も可能な距離ですし、災害時に渋谷の住民が避難することも、逆に受け入れることもあり得る。だからこそ、平時から顔の見える“関係人口”を育てておくことが都市の力を高めると考えています。

なので、もしかしたら、今後の10年は「渋谷の中」ではなく、「渋谷の外」にこそヒントがあるかもしれません。

少し話は逸れますが、そうした連携先の自治体から地元の生鮮食品を載せた移動トラックが定期的に渋谷に来るようになれば、それだけで価値があります。

筧 大日朗(以下、筧):スウェーデンでは、一般的に「地産地消」の範囲は600km圏なのですが、最近では50km圏内での「超・地産地消」という概念があると知りましたが、その感覚と近いかもしれませんね。

長谷部:そうですね。災害時相互応援協定都市との関係がそうなっていくのも良いかも知れませんね。

あと、これはちょっとした“野望”なんですけど──

日本中に「〇〇銀座」ってあるじゃないですか。それと同じように、「〇〇渋谷」があってもいいんじゃないかと思ってるんです。「リトル東京」や「ジャパンセンター」みたいに、“リトル渋谷”や“SHIBUYAセンター”といった形で、渋谷発のカルチャーや共創の価値観が世界に広がっていく。そんな未来があってもいいんじゃないか、と密かに思っているんです。

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文= 加生 健太朗

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