推し活を知られないための工夫
では、そんな人たちは家族と暮らす中で、どのようにしてオタクであることや推しがバレることを防いでいるのか。自由回答より抜粋した。

・通販のダンボールはすぐに処分する(10代女性)
・基本、家族も友達も部屋には入れない。来てもリビングで遊ぶ(10代女性)
・家族にはバレたくないので祭壇を本棚の中に作り、見られないよう毎回棚を隠す(20代女性)
・親に貸す漫画の横にはBL漫画を絶対置かない(10代女性)
・実家では一人の時しか配信を見ない。グッズはすべて隠す(20代男性)
視覚的な証拠だけでなく、音からの“バレ”も防ぐ細やかな工夫が目立つ。家族にバレたくないけれど、好きな気持ちは止められない。そんなジレンマと向き合いながらも、それぞれのやり方で推し活を楽しんでいる様子が見てとれる。
昭和の「推し活バレ」体験
筆者も小学生の頃、アメリカのロックバンド「KISS」に夢中になっていた時期がある。壁にポスターを貼ったところ、母から「こんなのを聞いていたら不良になる」と言われ、ポスターもレコードも捨てられた。それ以来、KISSは“陰の推し”となり、こっそり心の中で崇拝し続けた。
昭和期の親世代は、趣味や音楽が人格形成に影響すると考える傾向が強く、ロック=不良の思考もあったため、禁止や没収も珍しくなかった。しかしそれは子どもの自己肯定感を下げ、趣味や表現を「隠すもの」にしてしまうことにもなりかねなかった。
推し活を“推す”ことで家庭円満に?
現在10代の子どもを育てる親は40代前後が中心で、青春期を平成に過ごした世代だ。自らもアニメや音楽、ゲーム文化に触れてきた経験から、推し活に理解を示す傾向が強い。否定や監視ではなく、「テスト期間中は控える」「高額グッズは相談する」など、現実的なルールを共有しながら見守るケースが増えている。
今回の調査結果を見ると、家族の推し活を“推す”ことは、子ども(あるいは親など他の家族)の自己肯定感を損なわず、家庭内の会話を増やすきっかけにもなりえるのではないか……ということだ。夢中になれるものを見つけることは案外難しい。日々を楽しく過ごす術、それが推し活だ。家族でその楽しさを共有、または見守ることは、結果的に家庭円満にもつながるのかもしれない。


