海外

2025.08.12 13:00

AIの未来を支える「光インフラ」のイスラエル企業Teramountが74億円調達

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急増するAIの電力コストとデータ転送の課題

Teramountが、このタイミングで資金調達を行ったのは偶然ではない。ここ2年間でAIのコストは金銭面でも、それを支える電力面でも一貫して上昇し続けている。

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国際エネルギー機関(IEA)は、主に生成AIシステム向けの需要の拡大によって、データセンター全体の電力使用量が2026年までに1000テラワット時に達し、現在の水準のほぼ2倍になると予測している。参考までにいえば、これは日本全体の電力需要に匹敵する規模だ。

ロイターの最近のBreakingviewsのコラムでも、AIブームはアルゴリズムの進化だけでなく、インフラの問題でもあると論じている。このコラムは、今後数年で世界のデータセンター投資額が3.7兆ドル(約544兆億円)を超える可能性があると予測し、電力消費を削減しつつ帯域幅を拡大することが差し迫った課題であることを強調している。

そして決定的な点が、電力の大部分が計算処理ではなく、データの転送に使われているという点だ。プロセッサー間、ラック間、ストレージ、メモリープール間でデータをやり取りするための電力消費が膨大なのだ。そのため、より高速で電力消費を抑えた接続手段がなければ、AIの「スケールの優位性」は「エネルギーの負債」へと転じてしまう。

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人々は、AIの未来が、コードを書いたり、文書を作成したり、画像を解析したりするための強力なモデルの進化にあると考えがちだ。しかし、それらスマート化されたツールはすべて、データを移動させ、熱を管理し、全体を円滑に動かすためのシステムに支えらている。その基盤が脆ければ、システム全体が崩壊してしまう。

ただし、シリコンフォトニクスはすぐに使えるような簡単な解決策ではない。この技術が主流になるまでには、新たな標準規格、より優れたパッケージング技術、高度な製造体制が必要となる。この技術は、長年の研究室での実験を経てようやく実用レベルに漕ぎつけた。

しかし、状況は変わりつつある。メタ、マイクロソフト、アマゾンといった企業は、すでに一部の最新AIシステムにおいてフォトニック接続を導入しており、静かだが着実にその活用を進めている。

そして、シリコンフォトニクスのような、困難で目立たないAIの領域に投資家の目が向けられていることは、業界がこの技術を「不可欠なもの」と考えていることの強い証拠といえる。

AIの未来を左右するインフラの進化

Teramountの資金調達は、AIインフラ全体で進む大規模な動きを反映している。そして、その動きこそが、この時代の勝者を決める最大の要因になり得る。AIの勝者となるのは、最も賢いモデルを訓練する企業だけではなく、そのプロセスを大規模かつ高速に、しかも電力網を逼迫させずに処理できるシステムを構築した企業だといえる。

「AIが単なるマーケティングの流行語から、持続可能なイノベーションの原動力へと進化するためには、それを支えるインフラもアルゴリズムと同様に賢く効率的なものに進化する必要がある。AIの未来は、それを支えるシステムのあり方を見直せるかどうかにかかっている」と、Teramountの共同創業者でCEOのヘシャム・タハは述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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