2025.08.11 10:00

「大麻ツーリズム」市場、3.4兆円規模へ 世界で進む観光と規制の試行錯誤

タイのサムイ島(Shutterstock.com)

ラテンアメリカ、アジア、カリブ海での動き

大麻ツーリズムは、新興市場においても進化を遂げつつある。

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この分野では、嗜好用大麻が合法のウルグアイが先駆けとして知られる。Laricaのようなプロジェクトが、大麻、美食、学びを融合させており、大麻フレンドリーなゲストハウスの「Casa Larica」を展開している。アルゼンチンでは、Los Caucesがパタゴニアの山間部で栽培した大麻にサステナビリティとウェルネスのプログラムを組み合わせたエコツーリズムのモデルを打ち出している。

個人の使用・所持が刑事罰の対象にならない国々

コロンビアのボゴタでは、Casa Maríaがコワーキングとコリビング、大麻の学びの機会を組み合わせた施設を運営しており、ワークショップ、医療相談、カルチャープログラムなどを通じて、責任ある使用への偏見を取り払う取り組みを行っている。

ジャマイカでは、Hedonism IIの「HedoWeedo」のような施設がホスピタリティの形を進化させている。また、Coral Coveは、シロシビン・マイクロドージング・リトリート、自社栽培の大麻を活用したアクティビティを提供している。シロシビン・マイクロドージング・リトリートは、マジックマッシュルームに含まれる幻覚作用のある成分「シロシビン」(日本では違法の麻薬成分)を摂取し、ヨガ・瞑想といったウェルネス活動を行うプログラムを指す。さらに、施設が所有するサンゴ礁での「ハイ・シュノーケリング」などを含め、大麻にとどまらない植物療法のツーリズムを展開している。

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合法の医療用大麻を基盤に「医療ツーリズム」の一環として展開するプエルトリコ

医療大麻を合法化したプエルトリコでは、米国との相互認証制度により、米国本土からの医療大麻の使用者が、現地のディスペンサリーを利用できるようになっている(嗜好用大麻は違法)。これにより旅行者は、大麻を自分のウェルネスに取り入れる機会を得られる。島のビーチ、独自の文化、ホスピタリティを体験しながら、医療ツーリズムによる滞在をより深く楽しめるのだ。また希望者は、渡航前に遠隔医療を通じて認定を受けることが可能で、安全かつ合法的に、手間のない形で利用できる仕組みが整っている。

75年以上にわたり製薬拠点としての地位を築いてきたプエルトリコには、長年にわたる医療関連のイノベーションの歴史がある。そして、その伝統は大麻製品にも受け継がれており、熱帯地域特有の品種、伝統医療の知識に基づく製品が開発されている。こうした文化的な背景に加え、数百軒におよぶディスペンサリー、活気ある音楽、食文化が相まって、プエルトリコは世界のウェルネスツーリズムにおいて独自の地位を築きつつある。

事情に詳しい関係者によると、プエルトリコ政府の当局者は現在、アクセスの改善、規制の整備、そして観光経済全体との統合に向けた取り組みを積極的に進めているという。現地では、すでに一部で大麻フレンドリーなホスピタリティ施設が存在しているものの、現時点では広くプロモーションされてはいない。しかし、医療用大麻やCBD、その他の植物療法が世界的なウェルネスの潮流とますます結びつきを強めるなか、プエルトリコの観光業界も、心と体の健康を重視する旅行者に向けた新たな目的地としての在り方を模索している。

大麻は「ウェルネス」につながるツールへ転換するか

Cultivating Spirits and CashoMのウルフは、この変化が不可欠なものだと捉えている。「大麻は目的地ではなく、ツールだ。それは、人々を意図を持った生き方、創造性、マインドフルネス、そして人とのつながりへと導くものだ」と彼は述べている。彼の会社は、大麻をガイド付きのテイスティング、リトリートといった厳選された体験に組み込むことに力を入れている。そこでは酩酊ではなく、内面的な充実や学びを重視している。

人と場所の両方に敬意を払う事業者に委ねられている

タイの高級リゾートであれ、パタゴニアのエコ・リトリートであれ、今後の大麻ホスピタリティが目指すべき未来は、人と場所の両方に敬意を払ってエクスペリエンスを築く事業者たちの手に委ねられている。

これからの大麻ツーリズムを形作るのは、単に大麻を喫煙可能なホテルのフロアを用意することではない。それは、植物由来の医療として、ウェルネス、ホスピタリティ、文化体験の中に大麻を意識的に丁寧に組み込んでいく人々だ。ウルフが言うように、大麻ホスピタリティの未来は、奇抜さではなく目的に仕える人々のものだ。それは、マインドフルネス、人とのつながり、そして場所との調和に根ざした、新たな旅のかたちを築こうとする試みだ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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