OpenAIは米国時間8月7日、同社で最も先進的な言語モデル「GPT‑5」を公開した。
旗艦製品に位置づけられるこのモデルはChatGPTを強化するものだ。OpenAIは、企業評価額が5000億ドル(約73兆4600億円)に近付いていると報じられるなか、グーグルやAnthropicなどの競合他社への対抗を狙う。
OpenAIはGPT‑5を「これまでで最も賢く、最速で、最も有用なモデル」と称し、コーディング、数学、文章作成、健康関連の質問における改善を強調した。
GPT‑5は従来のモデルよりも迅速に質問に答えることができ、ハルシネーション(言語モデルが誤った情報や誤解を招く結果を生成してしまう現象)を起こしにくいとOpenAIは述べている。
この言語モデルは米国時間8月7日からChatGPT Plus、Pro、Teamおよび無料版ユーザーに対して順次提供が始まり、EnterpriseおよびEducationユーザーには1週間後にリリースされる予定だ。
GPT‑5のライバルは?
OpenAIはGPT‑5を旗艦モデルと位置づけ、xAIのGrok 4、グーグルのGemini 2.5、AnthropicのClaude 4といった大規模な商用モデルと正面から競合するものだ。中国を拠点とするDeepSeekのV3モデルもAI市場でユーザー獲得を競っている。xAIの最高経営責任者イーロン・マスクはGPT‑5の発表直後、「Grok 5は年内に登場し、圧倒的に優れたものになるだろう」と述べた。グーグルやAnthropicが次期GeminiやClaudeをいつ発表するかは不明だ。
OpenAIの評価額
GPT‑5のリリースは前例のない資金調達の急伸に支えられている。OpenAIは3月に400億ドル(約5兆8800億円)の資金調達ラウンドを完了したが、これは民間テクノロジー企業の資金調達としては史上最大となる。複数の報道によれば、同社は現職および元従業員が保有する株式の売却を、5000億ドル(約73兆4600億円)の企業評価額の下で投資家と初期協議を行っている。これは以前の3000億ドル(約44兆1200億円)という評価額から大幅な増額となる。
GPT-5は前モデルと比べて約45%ハルシネーションが起こりにくい
ハルシネーションは、OpenAIおよび他のAI企業の製品でますます顕在化している課題である。OpenAIは4月の報告で、同社のGPT-o3およびo4-miniが30~50%の頻度でハルシネーションを起こしたとし、その理由は完全には明らかでないと述べている。
AI研究企業Vectaraの独立テストによれば、DeepSeekのR1推論モデルは同社の従来モデルよりもハルシネーションが多い。ハルシネーションはAIモデルの思考過程の各段階で発生する可能性があるが、プロンプトがモデルの所有する知識外の情報を要求する場合に特に起こりやすい。研究者の多くは完全な抑止は不可能だと見なしており、各社は新モデルで発生率の低減に努めている。OpenAIによれば、GPT-5の応答はGPT-4oに比べ、事実の誤りを含む可能性が約45%低いという。



