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2025.08.08 12:30

スカイダンス、「約1兆1800億円」のパラマウント買収を完了

Apu Gomes/Getty Images

Apu Gomes/Getty Images

米映画製作会社スカイダンス・メディアのCEOを務めるデヴィッド・エリソンは、同社による80億ドル(約1兆1800億円)規模のパラマウント・グローバル買収を完了したと米国時間8月7日に発表した。この取引は2024年7月に発表されて以降、規制当局の承認を得るまで紆余曲折があったが、2週間前に米連邦通信委員会(FCC)によって最終的に承認されていた。

オラクルの共同創業者で億万長者のラリー・エリソンを父に持つデヴィッド・エリソンは、この日を「新生パラマウントの第1日目」と称し、同社の伝統を称えるとともに、同社を「刺激的な次の章」へと導くことを誓った。

エリソンはまた、パラマウントを「ハリウッドの創造的精神とシリコンバレーの革新性を融合させた、テクノロジー先進企業」へと変革することを約束した。

この買収によるCBSへの影響は?

パラマウントは7月、米大統領選挙期間中にドナルド・トランプ大統領が提起した訴訟を和解した。この訴訟は、同局の伝統あるニュース番組『60 Minutes』が、前副大統領カマラ・ハリスとのインタビュー映像を選挙前に恣意的に編集したとする内容だった。

パラマウントは当初200億ドル(約2兆9500億円)を請求していたトランプに対し、1600万ドル(約23億5800万円)を支払うことで和解に至った。トランプはこの結果を「勝利」だと称賛した。

この数日後、CBSは同局の看板深夜番組『The Late Show with Stephen Colbert』の打ち切りを発表。局側は純粋に財務的な判断だと説明したが、同番組の司会者で、頻繁にトランプを批判することで有名なスティーヴン・コルベアは、この決定を非難し、『60 Minutes』の和解についても「でっかい賄賂だ」と批判した。

7日、エリソンはCBSの報道部門について言及し、同部門は「『60 Minutes』も含め、米国の放送ジャーナリズムにおける最も伝統ある遺産のひとつ」だと称賛した。

なお、7月24日にFCCの承認を得る前、スカイダンスは規制当局に対し、CBSの職場環境に大幅な改革を実施する計画を説明していた。その内容には、ダイバーシティ、公平性、包括性(DEI)に関するプログラムの廃止、報道における偏向への対応を担うオンブズマンの任命、そして「視聴者の多様な価値観に応じた、政治、思想に関する多様な視点の促進」が含まれていた。

エリソンは7日、報道部門の「パートナー」たちへ向けて直接語りかけ、「困難な時期であったことは承知しており、その中で示されたみなさんの忍耐力、専門性、そして報道への揺るぎない献身に深く感謝している」と述べた。そして「我々はCBSニュースが持つ、影響力ある報道の伝統を誇りに思っており、ジャーナリストが信頼され、権限を与えられ、最高の仕事ができるような文化を引き続き育んでいく考えだ」と語った。

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翻訳=江津拓哉

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