ドナルド・トランプ米大統領は米国時間8月6日、アップルが米国内生産に向けて1000億ドル(約14兆7500億円)を追加投資する方針を明らかにする予定だ。ホワイトハウスがForbesに語ったところによれば、これは同社CEOのティム・クックが今年初めに発表した、新たな工場の建設や数万人規模の雇用創出を目指す総額5000億ドル(約73兆5200億円)の投資計画に追加されるものとなる。
ホワイトハウスの担当者がForbesに語ったところによれば、今回のトランプが発表する予定の「米国製造プログラム(American Manufacturing Program)」は、アップルが重要部品の国内製造を進め、同社のサプライチェーンの一部を米国内に呼び戻すことを目指すものだ。
今年2月、クック率いるアップルは5000億ドル(約73兆5200億円)規模の投資計画を発表しており、そこには「先進製造支援ファンド(Advanced Manufacturing Fund)」を100億ドル(約1兆4700億円)へ倍増すること、ヒューストンに新工場を建設すること、ミシガン州に研修施設を設けること、そして2万人の新規雇用を創出することなどが含まれていた。
今回の国内投資が最初にBloombergで報じられた後、同社の株価は3%以上上昇し、210ドル付近の値をつけた。
アップルはこの件に関するコメント要請に対し、現時点では応じていない。
CNBCによると、トランプは米東部時間午後4時30分にアップルの投資詳細を発表する予定であり、クックもこの発表イベントに同席するとみられている。
ホワイトハウスの報道官であるテイラー・ロジャーズはForbesに対し、「本日のアップルとの発表は、米国の製造業にとってのさらなる勝利であり、同時に重要部品の生産拠点を米国内に回帰させることで、米国の経済安全保障と国家安全保障を強化することにもつながる」と述べた。
6日、トランプはインドがロシア産原油の輸入を継続していることを理由に、同国に対する関税率を50%に倍増すると発表した。先週行われたアップルのアナリスト向け決算説明会の中で、クックは「米国で販売されているiPhoneの大多数はインドから出荷されている」と述べ、アップルが「サプライチェーンの最適化を目指すべきなのは明らかで、最終的には米国での生産を拡大する」と語っていた。トランプは5月にTruth Socialへの投稿で、iPhoneは「インドや他の国ではなく」米国で製造されるべきだと、「ずっと前に」クックに伝えていたと書いており、国内生産へ移行しなければ25%の関税をアップルに課すと警告していた。
トランプは近年、自身の大規模な関税政策に関連して、企業に対し米国内での生産を拡大するよう圧力をかけてきた。今年初めには、彼は米国におけるAI技術革新の推進を目的に、オラクル、ソフトバンク、OpenAIによる1000億ドル(約14兆7000億円)規模のAIデータセンター投資を発表しており、最終的にはそれを少なくとも5000億ドル(約73兆5200億円)規模にまで引き上げる計画であると述べていた。オラクルとOpenAIはその後、データセンター機能の強化計画をさらに拡大することを明らかにしている。
また、トランプは小売大手のウォルマートを名指しで批判している。同社が関税コストを価格に転嫁すると警告したことを受け、ウォルマートは「関税を自分たちで吸収しろ」「顧客には一切の負担をさせるな」と述べていた。



