北米

2025.08.07 09:30

トランプがインドの関税を「50%」に倍増、ロシア産原油購入に報復

Andrew Harnik/Getty Images

Andrew Harnik/Getty Images

ドナルド・トランプ米大統領は米国時間8月6日、インドによるロシア産原油購入に対する報復措置として、インドからの輸入品にかかる関税を従来の25%から50%へと引き上げた。

インドに対しては、世界60カ国以上との関税協定の締結期限として定められた7日午前0時1分に25%の関税がまず発効され、それに上乗せする形で、追加の25%が今後21日以内に発効される予定だ。

トランプは今週に入り、インドに対する関税引き上げの可能性を示唆していた。彼は5日に行われたCNBCのインタビューで「インドは良き貿易相手ではなかった」と述べ、「彼らはロシアから原油を買っており、その資金がロシアの戦争機械を支えている。そのため、今後24時間で関税を非常に大きく引き上げるつもりだ」と警告していた。

今回の動きは、トランプがロシアに対しウクライナとの停戦合意を結ぶよう圧力をかける中で行われたものであり、両国間の戦争終結を仲介しようとする試みの一環である。

インド外務省は声明で、今回の報復関税を「不当で、正当性がなく、理不尽である」と非難し、「他の多くの国々も自国の国益のために同様の行動を取っている中で、米国がインドに対して追加関税を課すことを選択したのは極めて遺憾である」と述べた。これはロシア産原油を購入している中国など他国を暗に指しているとみられる。

インドは中国に次ぐロシア産原油の輸入国である。昨年のインドによるロシア産原油の輸入額は527億ドル(約7兆7500億円)だった。ブルッキングス研究所のロビン・ブルックスとベン・ハリスによる分析に基づき、先月ハーバード・ケネディ・スクールが発表した。

トランプは6日に発令した大統領令の中で、ロシア産原油を購入する他の国々も同様の制裁対象となる可能性があると示唆した。この大統領令は政権幹部に対し、「ロシアの原油を直接的または間接的に輸入している国が他に存在するかどうか」、またそれらの国が制裁の対象となるべきかどうかを判断するよう指示している。

トランプによるインドへの関税倍増は、アップルが米国内で新たに1000億ドル(約14兆7000億円)規模の投資を発表するとみられる中での動きだ。アップルはインドでiPhoneの大部分を製造しているが、トランプは同社に対して生産の国内回帰を進めなければ25%の関税を課すと警告している。ただし、アップルは4月にトランプが発表したスマートフォン、コンピュータ、その他電子機器に関する関税免除の対象となっており、現時点ではインドへの新たな関税の影響を大きく受けていない。

7日に発効する世界67カ国の貿易相手国に対する新たな関税の大部分は、トランプが4月の「解放の日」に発表したものである。このときホワイトハウスはそれらを「相互関税」と呼んだ。トランプはこれらの関税の発効を当初7月9日まで延期し、さらに8月1日、そして3度目には8月7日まで延期していた。これは米国の貿易相手国に新たな関税率の交渉期間を与えるためであったが、現在、合意に達した国はごくわずかに留まる。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事