996勤務に対するZ世代の「良いトラブル」
Z世代は、996勤務に対して「良いトラブル」を起こしている。この言葉は、公民権運動家で上院議員のジョン・ルイスが、不正に対する非暴力的な抗議行動を指すために使ったものである。Z世代は、健全な心と体と精神を大事にするという考え方を職場に持ち込み、企業の健全な利益成長と、みずからの持続可能なキャリア構築を両立させようとしている。
彼らは、職場のルールをより人間的かつ従業員本位なものへと書き換えつつある。その変化の兆しは2025年時点でも明確に見られる。Z世代は、時代遅れの慣習を見直し、仕事の進め方を柔軟性、ワークライフバランス、人間的価値を尊重する方向へと刷新している。企業には、コラボレーションの在り方を見直すよう働きかけ、「意識的な非上司化(conscious un-bossing)」や「小さな変化(micro-shifts)」といった職場の新潮流を導入している。
彼らは、意見を主張する自分たちに「扱いづらい」というレッテルを貼るのではなく、自分たちが何者であるかを正しく理解してほしいと願っている。そして、自らの価値観やキャリアにおけるニーズが、他の世代と違うだけであって、劣っているわけではないと訴えている。
Z世代は、企業が時計の針を巻き戻し、時代遅れの働き方を押し付けることを拒否している。また、社員に対して失職の恐怖を与え、自分の精神的健康を守るために社員たちが「こっそりと働く」ような状況を生まない職場を望んでいる。
専門家らによれば、2030年にはZ世代が米国の労働市場の主力を担うようになると予測されている。以下は、Z世代が職場に対して求める、6つの科学的に裏付けられた変革であり、彼らが企業に貢献し、自らの職業人生を充実させるうえで重視している点である。
・仕事での期待よりも、精神的健康とウェルビーイングを優先する
・リモートワークやハイブリッド勤務など、柔軟な働き方を追求する
・自身の価値観や情熱と一致した、目的主導型の仕事を重視する
・プライベートと仕事の境界線を守りながらも、生産性を高めるためにテクノロジーを活用する
・個人の時間を尊重し、休憩を推奨する職場文化を求める
・協働を促進させるような、支援的な人間関係の構築を重視する
WrikeのCMOを務めるクリスティーン・ロイストンによれば、これらの変化は単なる世代的な嗜好ではなく、職場における生産性のあり方が恒久的に変わりつつあることを示しているという。ロイストンは、Z世代がよりスマートで、柔軟な協働プラットフォームの導入を後押ししていると述べている。
996勤務をめぐる最終的な考察
結局のところ、仕事における生産性とは、利益と人間性との対立ではなく、健全なワークライフバランスをいかに見出すかにかかっている。そして、それを実現するには、勤務体制、残業や非効率な会議のあり方などにおいて、抜本的な見直しが必要である。企業がなすべき課題は、生産性と利益を追求しながらも、人間性と心身の健康を犠牲にしない職場文化を築くことであり、AI競争に勝つためにロボットのような社員を量産する996勤務に固執することではない。


