映画

2025.08.07 17:00

アマゾン版『宇宙戦争』、人気ランキング上位も「史上最悪の映画」と酷評される

T. Schneider / Shutterstock.com

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「ストリーム配信の視聴者は、C級映画も気にせず見るのか」という問いに対する究極の答えを出すかもしれない作品が、Amazon Prime Videoで新たに登場した。

その作品とは、アマゾンオリジナル映画の『ウォー・オブ・ザ・ワールド』。1898年に発表されたSF小説『宇宙戦争』の新たな映像化作品だ。同小説はこれまで10回ほど映画やドラマ、ドキュメンタリーなどになってきたが、今回の映画化はその中でも最悪の評価を受けているのは間違いない。

『ウォー・オブ・ザ・ワールド』は、米国版Amazon Prime Videoの人気ランキングで、アマゾンオリジナル映画としては1位、全体でも2位の人気を得ているにもかかわらず、批評サイト「ロッテン・トマト」での批評家からの評価は異例の「0%」となっている。これは見ての通り、最低のスコアだ。気取った批評家には安っぽいSFカルト作品の良さがわからないだけだと考える人もいるかもしれないが、一般視聴者からの評価もわずか12%という惨憺(さんたん)たる結果となっている。

本作には、アイス・キューブ、エヴァ・ロンゴリア、クラーク・グレッグといった、名前や顔が知られている俳優も出演している。ただ最近は、本来ならDVDの在庫処分セール対象となっていたような映画が、世界大手ストリーミングサービスの人気ランキングで1位となるような時代である。これは、最近はやりの表現を使えば「ピーク・スロップ(粗製濫造の極致)」とも呼べるものだろう。

『ウォー・オブ・ザ・ワールド』のあらすじはこうだ。「米国政府で働くコンピューターセキュリティアナリストの日常が、異星人の攻撃によって破られる。バーチャルの脅威への対処に慣れた彼は、政府が隠しているかもしれない秘密にも直面する」

この映画の大きな特徴は、全編がパソコン画面上のみで展開される演出だ。これ自体は決して悪いアイデアではなく、同様の手法を用いたホラー映画『アンフレンデッド』やスリラー『search/サーチ』は成功を収めている。

しかし本作の出来はひどく、批評家の中には皮肉ではなく「史上最悪映画の一つ」と評する者さえいる。映画批評ユーチューバーのアダム・オリンジャーは「最近のレビュワーの多くが『これは史上最悪の映画だ』という大げさな表現を使うのは、気に食わない。というのも、そうした表現は、実際に全力で史上最悪映画の一つになった『ウォー・オブ・ザ・ワールド』のような作品の存在を薄れさせてしまうからだ」と述べている。

同じく映画批評ユーチューバーのオースティン・バークは10点満点中1点を付けたレビューで、同作は「2020年代最悪の映画の一つの候補入り」をしたと述べている。ここまで言われると、逆に観てみたくなる。

さらに同作では、パソコン画面上で展開するストーリーに合わせてアマゾンの宣伝要素も織り込まれていることから、あるレビュワーは「90分間のテレビ通販」とこき下ろした。

『ウォー・オブ・ザ・ワールド』は、悪い意味で歴史に残る作品となる可能性がある。今後、アマゾンの人気ランキング上位にどれほどの期間とどまるのかはわからないが、いずれにせよ注目に値する事態だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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