気候・環境

2025.08.08 08:00

再生可能エネルギーの「幻想」 急成長も増大する電力需要に追いつけず

Shutterstock.com

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近年、再生可能エネルギーが化石燃料の消費に与える影響を過大評価する楽観的な見方が誇張されてきた。しかし、現実はそれほど甘くはない。特に経済協力開発機構(OECD)に加盟していない途上国やエネルギー集約型産業では、再生可能エネルギーは化石燃料に取って代わってはいないのだ。再生可能エネルギーは急成長しているものの、世界の電力需要の増加には追いついていないのが現状だ。

これが、英エネルギー研究所(EI)が公表した「2025年世界エネルギー統計報告」から読み取れる重要な点だ。確かに再生可能エネルギーは昨年、目覚ましい成長を遂げた。だが、それでも世界の化石燃料消費量や炭素排出量の推移を示すグラフを動かすには十分ではなかった。

2023年の世界のエネルギー消費量は合計580エクサジュール(EJ)だったが、再生可能エネルギーの消費量はわずか29.97EJで、全体に占める割合は5.2%にとどまった。2024年には32.74EJにまで増加したが、全体に占める割合は依然5.5%だ。

世界のエネルギー需要は2023~24年にかけて11.9EJ増加したが、再生可能エネルギーが賄ったのはわずか2.7EJで、全体の約23%だった。残りの大半は化石燃料が担い、天然ガスが4.1EJで最大の割合を占めた。再生可能エネルギーの消費量が記録的に伸びたにもかかわらず、二酸化炭素排出量が2024年も増え続けたのはこのためだ。

他方で、明るい話題もいくつかあった。2024年には、日本、アルゼンチン、オランダ、ポーランド、ニュージーランド、チェコ、英国などの国々で、再生可能エネルギーの成長が化石燃料の増加を上回るとみられている。米国では同年、再生可能エネルギーが電力需要の増加分の約67%を賄った。これは世界平均を上回っているが、化石燃料の追加消費なしに増加分を埋めるには依然として不十分だ。

中国やインドのような国々は、世界の石炭と天然ガス消費の大部分を占めており、二酸化炭素排出量の多い化石燃料への依存を強めている。その結果、再生可能エネルギーの成長は加速しているものの、化石燃料を置き換えるほど十分ではないという、構造的な矛盾が生じている。むしろ、再生可能エネルギーは単に増大する電力需要を補っているだけで、炭素排出量は増加の一途をたどっている。

太陽光発電 急成長で新記録を達成

明るい話題としては、太陽光発電の急成長がある。太陽光発電量は2024年、世界全体で前年比27.5%増加し、7.7EJという新記録を達成した。太陽光発電量は過去10年間にわたって年平均25.8%のペースで伸びており、これは主要なエネルギー源の中で最速だ。

非OECD諸国は昨年、全世界の太陽光発電の57%を占めた。中国だけで3.0EJを発電し、世界全体の4割近くに上った。インドの太陽光発電量は2014年にはわずか0.02EJだったが、2024年には0.5EJと、25倍に拡大。背景には、政府が支援する太陽光パネルの屋上設置計画と送電網の拡張がある。

米国の2024年の太陽光発電量は1.1EJに上り、世界全体の14.6%を占めた。だが、10年間の複合成長率は24.4%で、世界平均を下回っている。

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翻訳・編集=安藤清香

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