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2025.08.22 16:00

「GXは日本の勝ち筋だ」――アスエネ×テラチャージが描くグローバル戦略

2025年、世界のGX(グリーントランスフォーメーション)市場は大きな転換点を迎えている。米国ではトランプ政権が脱炭素政策に影を落とす一方で、欧州や中国、そして日本でも独自の脱炭素規制強化が本格化している。この複雑でダイナミックな市場で、日本発のスタートアップはいかにして世界と戦うのか。

企業のCO2排出量見える化クラウドで業界をリードするアスエネのFounder & 代表取締役CEO 西和田浩平と、EV充電インフラで国内トップを走るテラチャージの代表取締役社長 徳重徹が、そのグローバル戦略と未来への展望を語り合った。


徳重 徹(以下、徳重) 私たちはEV事業から派生する形での充電サービス、いわゆるCPO(充電ポイントオペレーター)事業を手がけています。充電器の設置からアプリ提供、工事、補助金申請代行までを一気通貫で行っており、業界では最後発でしたが、この3年余りでトップの一角を占めるまでに成長することができました。グローバルにおいては、インド、タイ、インドネシアの4カ国で、すべてゼロからの立ち上げというなかなか無茶な展開をしてきました。

西和田浩平(以下、西和田) 私たちアスエネも、「気候変動×テクノロジー」をテーマに複数のBtoBソフトウェア事業を手がけています。企業のCO2排出量やESGデータをサプライチェーン全体で見える化し、改善までを支援するクラウドサービスが主軸です。創業6年で資金調達額は106億円を超え、日本以外ではアメリカ、イギリス、シンガポールなど5カ国で拠点をもってグローバル展開を進めています。特に欧米市場はM&Aも活用しながら本格的な攻勢をかけている段階です。

徳重 トランプ政権による脱炭素への逆風も取り沙汰されていますが、今のGXトレンドをどう見ていますか? アメリカだけ見ると厳しいように見えますが、私が直近で現地に訪れた感覚で言うと、欧州のEV化トレンドはほとんど変わっていません。また、東南アジアでは環境意識というよりも「燃費が良い」という理由からEVが急激に普及していて、タイではこの2年でEV比率が0.1%から10%を超えました。ビジネスを進めるにあたって、エンドユーザーが価値を感じているのはどこか、という視点が重要です。

西和田 まさに国や地域によって全く状況が違いますね。アメリカでも連邦レベルのGX規制は後退しているものの、州レベルでは脱炭素政策が強力に推進されています。カリフォルニア州だけで日本のGDPを超える市場があるので、私たちは今、西海岸での展開に力を入れています。現在のトランプ政権を踏まえると、アメリカのスタートアップはよほどの急成長をしていないと国内での資金調達が困難になっていて、私たちにとってはM&Aの絶好のチャンスとも言えるのです。

徳重 現地のEV充電関連企業は、上場企業であっても赤字続きで銀行融資も受けられていない。これを好機と捉えて、私たちも海外企業とのパートナーシップ強化を視野に入れています。

西和田 日本のGX領域はこれまで少し出遅れていましたが、GXリーグやJ-クレジット制度が始まり、GX2040ビジョンが策定されるなど、今後は規制も含めて加速していくはずです。そのなかで、国ごとに戦い方を変え、このダイナミックな戦局をどうスピード感をもって乗りこなすかが、スタートアップの面白いところでもあります。

西和田浩平 アスエネ Founder & 代表取締役CEO
西和田浩平 アスエネ Founder & 代表取締役CEO

グローバル展開によってGXが進行した社会を先見できる

西和田 アスエネは創業当初からグローバルで勝ちたいという思いが強くありました。時価総額1兆円という目標を掲げると、おのずと最低でも海外売上比率30%以上を目指さなければ届かない。だから、創業3年目という早い段階から海外展開を始めました。最初はオーガニックでの立ち上げで、シンガポールはうまくいきましたが、アメリカでは優秀な現地人材の採用に苦労し、多くのトライアンドエラーを経験しました。だからこそ、優秀な現地経営陣を丸ごとチームに迎え入れられるM&Aに舵を切ったのです。徳重さんもスタートアップでありながらグローバル戦略を積極的に仕掛けていますよね。

徳重 GX領域でのグローバル展開には、企業価値の増大に加えて、EVがすでに普及した世界を先見できる、というメリットがあります。

テラチャージのルーツであるEV3輪事業のTerra Motorsは、インドではトップシェアを誇っています。一方で、ベトナムやフィリピンでは撤退を余儀なくされました。ただ、その失敗のプロセスで実体験として「新興国の政府とは慎重に付き合う必要がある」「何よりも大事なのは顧客価値とPMF(プロダクトマーケットフィット)だ」など、数多くのことを学びました。日本のスタートアップは1、2回失敗するとすぐ諦めてしまいますが、新規事業が1回で当たることは稀なケースです。過去の挑戦も含めて場数を踏んできたことで、国が違っても勝負のポイントは大体分かってきました。

西和田 実践でしか学べないことが数多くあるというのは、非常に共感します。特にM&Aでは、どういう案件をやるべきか、どういう価格交渉ができるか、場数を踏むほどにパターンも分かってきます。PMI(M&A後の統合プロセス)に関しても、私自身が現場のフロントに立って、失敗と成功から学んだことを書面に残しながらノウハウを蓄積しています。今はまだ日本からの出張ベースですが、今後、本当にグローバルで勝ち切るには、SONY創業者の盛田氏のように私自身もアメリカに住んでさらに強いコミットメントが必要とも考えています。

徳重 PMIや採用といった面でも、グローバル展開における人の問題は大きいですね。コミュニケーションや考え方からして、日本の感覚と海外の感覚はまるで違います。PMFでも、日本のお客様は品質やサービスに要求するクオリティが非常に高く、スタートアップ的なスピードを優先したサービス展開が難しい部分もあります。

だからこそ、グローバルで戦うためには“総合格闘技”ができるようにならないといけません。海外展開ではどんな問題が起こるかわからないから、組織や個人の両方が基礎体力と身体能力を高めておく必要がある。失敗が許されない今の日本社会では、予測不能なグローバルで柔軟な戦い方ができる人材を育てられる組織はかなり少ない印象です。当社には、私と共に何度も修羅場をくぐり抜けてきた若手が10人以上いて、実経験で私のやり方を理解してもらっています。

徳重 徹 Terra Charge 代表取締役社長
徳重 徹 テラチャージ 代表取締役社長

GX領域は日本の強みを発揮できる分野

西和田 グローバルで戦うことで、日本から「世界で勝ちたい」という野心のある若手・中堅の意欲の高い人材が集まってくれるというのはアスエネとも共通しています。

徳重 日本のスタートアップは、もっと自信をもつべきです。当社の若いメンバーがアメリカに行くと、「社長、シリコンバレーの人でも臆することはないですね」と言ってきてくれて、すごく嬉しくなります。今、私たちの業界では、海外企業が巨額の資金を投じながらも赤字を垂れ流していますが、私たちはローコストオペレーションを徹底して利益を出しています。そんな風に、しっかりとトレーニングされた日本のチームが本気で勝負をすれば、多くの欧米企業に勝つことができるのです。この日本の“利益を出せる”体質をレバレッジにして、今以上に積極的に世界に進出するタイミングがきていると感じます。

西和田 その点、単なるITではなく、ディープテックやハードウェアとの連携、さらに真面目なオペレーション力が必要なGX領域というのは、日本の強みを発揮できる分野だと思います。特にアスエネのビジネスモデルはサプライチェーンでつながっていて、日本の製造業という強固な顧客群やデータ基盤をもっているので、海外の製造業に対する強力な武器にもなります。さらに、私たちがもっている“スピード”と“泥臭い実行力”というのは、ほかの日本企業がもっていない、グローバルで勝つための最大のバリューだと感じています。

徳重 最近、日本から世界に切り込んでいくスタートアップの流れ自体が少し停滞し、「冬の時代」と呼ぶ人もいます。それでも、日本はベースとして優秀な人が多いので、あとは大事なのは環境だけだと思います。特に若い世代こそリスクが少ないのだから、私たちのように小さな失敗を積み重ねながらもチャンスをくれる組織に飛び込んで、どんどんチャレンジしてほしいですね。

西和田 「環境が人を育てる」というのは本当にその通りで、私自身、この6年間が最も急成長できていると実感しています。チャレンジすることで新たに付き合う人やインプットが変わり、思考やアウトプットも急速に変わっていく。諦めず執念をもって挑戦し続ければ誰でも急成長できるはずで、特に日本がグローバルで勝てるGX領域は、未来を担う若者が挑戦するのにふさわしい面白い世界でもあるのです。

アスエネ
https://corp.asuene.com/


とくしげ・とおる◎テラチャージ/Terra Drone 代表取締役社長。大手保険会社経営企画を経て米国でMBA取得。シリコンバレーでのベンチャー支援を経て、2010年Terra Motors、16年Terra Drone設立。2022年テラチャージ事業立ち上げ。新たなインフラづくりに取り組み、世界で勝てる事業の創出へ挑んでいる。

にしわだ・こうへい◎アスエネFounder 代表取締役CEO兼COO。慶應義塾大学商学部卒業後、三井物産株式会社に入社。脱炭素・再生可能エネルギー領域の投資・M&A、新規事業開発、ブラジル駐在などを経験。その後、2019年10月にアスエネを創業。創業からグローバルでの事業の急成長を牽引中。

Promoted by アスエネ / text by Michi Sugawara / photographs by Shuji Goto / edited by Akio Takashiro