ビジネス

2025.08.10 08:00

グーグル「AIによる概要」がSEOとニュースを殺す──検索されても、クリックされない

Photo by Justin Sullivan/Getty Images

とどめの一撃

新聞、雑誌、コミュニティ紙は、インターネット黎明期のドットコム時代以来、ずっと圧力にさらされてきた。

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発端は、誰も望まなかったデジタル課金モデルへの移行だった。新聞は本来紙で読むためのものだ。ニュース編集部はデジタル購読でどう収益を維持するかに頭を悩ませた。

やがて主要な媒体の一部はSEOなどの手法を学び、可能な限り優れたデジタル課金システムを構築した。しかし、ブログやオルタナティブなニュースソースの台頭が状況をさらに厳しくした。

今ではAIが記事を書き、ニュースルームは人員削減を進めている。地域ニュースに投資する消費者は減っている。そしてクリック流入すら稼げなくなれば、どのような骨組みだけのニュースシステムが残るのか、誰にも予測できない。

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私は『ボストン・グローブ』紙の記者ジョン・チェストが行ったTEDトークを取り上げ、彼がこの状況を明快に説明するのを紹介した。ニュースメディアの衰退にインターネット検索アーキテクチャの劇的な変化が重なれば、まさに黙示録のような事態になる。私が付けた記事タイトル「AI Lacks Full Capacity to Replace Journalism」(AIにはジャーナリズムを完全に代替する能力はない)は、新しい変化が既存機関を殺さないことを意味してはいない。ただAIがまだその域に達していないというだけだ。

企業はある程度は方向転換できるはずだ。しかし光の速さでピボットすることはできないし、誰もそれを期待すべきではない。私たちは強力な新技術を統合する過程で深刻な成長痛を経験している。それはニュースルームだけの問題ではない。地元の家具店から隣の造園業者、中規模の小売業者に至るまで、この20年余りの間に誰もがグーグル検索を使って何らかの形でオンライン上の足跡を築く方法を学んできた。それ自体、すでに独占的過ぎた。しかし、この土台を覆すような変化は深刻な結果をもたらす可能性がある。今後の動向を注視したい。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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