ビジネス

2025.08.13 10:15

Rubrik共同創業者兼CEOが考える「100年企業」を目指すべき理由と、AIが日本にもたらす「黄金の機会」とは

━━それでは、AIが台頭する現状はどのような立場にいらっしゃいますか? 生成AIやAIエージェントができるかもしれないことへの期待が高まっています。しかし同時に、AIエージェントが誤って情報やデータを漏洩したり、侵害したりする可能性があるという「Agent Security(エージェント・セキュリティ)」に対する懸念の声も耳にしています。Rubrikは顧客に対して、AIが誤って漏洩することがないようデータの扱いには細心の注意を払うべき、と注意喚起できる立場にあります。エージェント・セキュリティなどを考えたとき、自社の役割をどのように位置づけていますか?

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シンハ:当然ながら、ビジネスリーダーは皆、AIと向き合わざるを得ません。ここで、私たちが考えたフレームワークについてお話しさせてください。

まず、お客様は「Agentic AI(エージェントAI)」の活用を望んでいますが、同時に「Responsible AI(責任あるAI)」をどう実現するかに頭を悩ませています。これが第一の課題です。第二に、エージェントAIがもたらす生産性向上のために、その活用範囲をビジネスの隅々まで広げたい、という強い意欲があります。

この課題には2つの側面があります。一つは、AIをいかに「安全なもの」にするか。もう一つは、いかにAIの導入を加速、より多くの場面で活用できるよう「有効なもの」にするかです。この2つを突き詰めると、私たちの原点である「データとセキュリティ」に行き着きます。Rubrikは本質的には「セキュアなデータレイク(生データの保管庫)」なのです。

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まず「責任あるAI」への取り組みですが、私たちはデータガバナンスとデータ分類を実現する「データセキュリティ態勢管理」製品を開発しました。これをお客様に提供することで、安全なAI運用を支援しています。また、生成AIに深く関わるIDセキュリティの強化にも取り組んでいます。

一方で、AIの「有効化」を推し進めるため、昨年「Annapurna(アンナプルナ)」という新製品も発表しました。これはRubrikのセキュアデータレイクを開放し、ベクトル検索や埋め込みの取得を可能にすることで、生成AIアプリの開発を強力に後押しします。この分野には本当にワクワクしていますよ。さらに、2025年6月下旬には、AIモデルのカスタマイズ・運用に強みをもつ「Predibase(プレディベース)」社の買収意向も発表しました。

エンタープライズAIで、お客様が直面する最大の壁が、パイロット(概念実証)からプロダクション(本格運用)への移行です。パイロットの段階では、モデルがハルシネーション(幻覚;不正確な情報出力)を起こしても大きな問題にはなりません。

しかし、プロダクションとなると話は別です。まず「正確性」、そして「低コストでの正確性」。この2つを両立させなければなりません。特に推論は、最適化されていなければコストが急騰してしまいます。

私たちはこの問題に着目しました。Rubrikには「セキュアなデータ」があります。そしてPredibaseには、AIの「正確性」を高めるモデルチューニング技術と、推論コストを80%も削減する推論サービス用のPaaS (Platform as a Service)があります。これは素晴らしい解決策だと確信しました。Rubrikのデータと、Predibaseの技術プラットフォーム。この2つを組み合わせれば、必ずや“魔法”を起こせると信じています。

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文 = 井関庸介 写真 = 小田駿一

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