ビジネス

2025.08.13 10:15

Rubrik共同創業者兼CEOが考える「100年企業」を目指すべき理由と、AIが日本にもたらす「黄金の機会」とは

━━起業家からVCに転身するケースはいくらでもありますが、逆はそれほど多くないように思えます。

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シンハ: 私のような経験をもつ人は、世界的にも珍しいでしょう。ある会社には創業初期に投資して投資家・取締役として上場まで導き、別の会社は自ら立ち上げ、創業者CEOとして上場させる。この両方を成し遂げた人「は、そう多くはありません。

VC(ベンチャー投資家)と起業家の間には、根本的な違いがあります。VCはその本質から、「何が失敗する可能性があるか?」を考えます。対照的に、起業家は「何が成功する可能性があるか?」を考えます。VCは多くの会社からなるポートフォリオをもち、全体としての成果を最適化しようとします。しかし、起業家がもつ会社は一つだけ。だからこそ、常に物事がうまくいく可能性を信じ抜くしかないのです。

ある哲学者は、人間の心には「知性」と「意志」という2つの状態があると話しています。知性とは、計画を立て、マイナス面を見つめる力。意志とは、実行に移し、プラス面を追求する力です。要するに、VCは「知性」の状態にあり、起業家は「意志」の状態にある、というわけです。

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━━なるほど。しかし、VC特有のスキルセットや考え方が過小評価されていると感じることはありませんか? Rubrikの起業では最大限に活用されているように思えます。

シンハ:私がもつ経験は、さまざまな面で独自の強みになっていると感じます。第一に、VCから資金提供を受ける意味を、その根本から理解することが極めて重要です。ベンチャーキャピタルは、最もコストの高い資金源の一つ。それが何のために与えられるのかと言えば、常識外れなほどの高成長ビジネスを創り出すためです。

では、どうすればそのようなビジネスを創れるのか? 当然、リスクを取って投資し続けなければなりません。VCの本質とは、資金を得て保守的になることではなく、リスクを取って驚異的な成長を達成すること。この大原則の理解が、まず何よりも大切です。

第二に、自社の成長戦略です。私たちは自社開発による成長と、M&A(合併・吸収)による成長の両輪で戦略を考えています。プラットフォーム戦略を掲げているため、そのロードマップを加速させてくれるチームや製品、技術を常に探しているのです。

ここで、私のシリーズA投資家としての経験が活きてきます。私は、少人数の創業者や小さなチームがもつ可能性、つまり彼らが狙う市場、その市場に対する「独自の視点」、そして、いかにして市場の破壊を狙うのか、といった本質を見抜くことができます。それは、かつて私が専門としてきたことであり、そのための訓練を積んできたことでもあります。

このスキルを活かして有望なスタートアップを買収し自社に取り込むことは、市場で「アンフェア・アドバンテージ(不公正なほどの優位性)」を築くうえで、非常に役立っているのです。

次ページ > やるべきは、自分が培ってきたスキル、つまり経験の総体を、きちんと把握しておくこと

文 = 井関庸介 写真 = 小田駿一

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