ビジネス

2025.08.13 10:15

Rubrik共同創業者兼CEOが考える「100年企業」を目指すべき理由と、AIが日本にもたらす「黄金の機会」とは

━━意識の変革ですね。

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シンハ: 意識の変革が必要なのです。起業してからの数年間は、自分のアイデアの可能性を、周りが信じてくれないという状況が必要です。その時間が、ライバルには真似できないプロダクトを築き上げ、ビジネスの「Moat(モート:城の周りの堀)」、すなわち参入障壁を築くための猶予となるのです。そして、やがて市場が自分の考えに追いつき、両者が交差する瞬間が訪れたとき、そこに“魔法”が生まれるのです。

━━Rubrikの共同創業者兼CTO(最高技術責任者)のArvind Nithrakashyap(アルビンド・ニトラカシャプ)さんは2024年に行われたForbes JAPANとのインタビューで、「15~20年前、経営者に『データにとっての最大の脅威は何か?』と尋ねたら、人為的ミスやハードウェアの故障、自然災害が引き起こす、データへの損害と復旧、と答えたことでしょう。それが今日、最大の脅威はサイバー攻撃へと移っています」と話していました。Rubrikも軸足をサイバー攻撃から企業を守るデータレジリエンス戦略に移行するなど、進化を続けています。大切なのは顧客であり、そのニーズに応えることが重視されるからですね。

シンハ: 私は常々こう言っています。Rubrikが惚れ込んでいるのは、自社の製品やテクノロジーではない、と。私たちが心から惚れ込んでいるのは、お客様であり、市場なのです。そこに本質があるからです。私たちのビジネスを支えてくださるのは、最終的にはお客様なのですから。

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お客様は、常に先へと進んでいきます。だからこそ、私たちは社内で「過去を忘れて現実と向き合え」という言葉を大切にしています。では、どうすればそれができるのか? 答えは一つ。お客様の後を、ただひたすら追い続けることです。

━━そうした考察力は生来の性質からくるものですか。それとも、教育やベンチャー投資業界での経験を通じて得られたものなのでしょうか?

シンハ: 決まった成功法則がないので一概には言えませんが、私が下してきた重要な決断は、すべて過去に囚われることなく、その瞬間の状況に対する「直感」に従ったものです。私は決して過去を振り返って物事を判断しません。

私がリーダーとして根本的に信じていることがあります。それは、常に「満たされない状態」でいるべきだ、ということです。なぜなら、満足感とは過去から生まれるからです。過去に成功例があると、人は現状をそれと比較して満足してしまいます。ならば、過去との比較を自ら断ち切れば、必然的に「絶え間ない不満」を抱くことになります。この状態こそが、前進するための原動力なのです。

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文 = 井関庸介 写真 = 小田駿一

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