━━事業承継について語るのは時期尚早だと思いますが、Rubrikの未来をどのようなものにしたいとお考えでしょうか?
シンハ:私の考えでは、100年続くような企業に育てるには、会社は「個人」ではなく「システム」が主役となる移行期間を経験しなくてはなりません。民主制と独裁制の違いを考えてみてください。独裁制では個人の力で組織が動きますが、その個人がいなくなれば崩壊します。
一方、民主制なら、リーダーが交代してもシステムが働き、組織は存続します。創業期のビジネスはプロセスや仕組みが存在しないため、創業者が事を成し遂げるには、少しだけ“独裁制”にならざるを得ない場合もあります。だからこそ、創業者の仕事とは、“独裁制”を民主制へと変革させることなのです。その役目を果たしてこそ、創業者たちが去った後も会社は存続し、100年企業が生まれるのです。
━━100年企業といえば、日本には数多くあります。その日本市場については、どのように考察されていますか?
シンハ: 日本は高度に発展した産業経済ですが、今まさにデジタル変革の渦中にあります。サービス業が経済の主役となるべき、この変革期において、これまではより多くのソフトウェアやIT人材、生産性が求められてきました。しかし、AIが日本に「黄金の機会」をもたらしたのです。
その黄金の機会とは、労働力不足という課題を抱えながらにして、生産性を飛躍的に向上できるという好機です。もはや何千何万というソフトウェアエンジニアは必要ありません。限られた人材でも、AIがプログラミングを担ってくれます。日本語という自然言語で、コンピュータと対話できるのですから。日本は今、大きな変革の岐路に立っているのです。
もちろん、この変革にリスクは付き物です。最大のものが、サイバーセキュリティです。AIやインテリジェントシステムへの依存度が高まるほど、地政学的な対立やサイバー戦争、産業スパイ、サイバー犯罪によるリスクも増大します。そのため、サイバー攻撃を受けてもシステムを稼働させ続けるための「サイバーレジリエンス」が極めて重要になります。もはや「攻撃されるかもしれない」ではなく、「攻撃は必ず来る」という前提(Assume Breach;侵害を前提とする姿勢)に立たなければなりません。
国全体の生産性をAIで向上させようと言うのであれば、そのAI自体が堅牢で、攻撃に耐えうるレジリエンスを備えていなければなりません。なぜなら、「デジタルの信頼」はサービスの継続性、つまり常に稼働している状態にかかっているからです。
Rubrikは、日本の政府機関や企業が、こうした脅威の中でも堅牢性の高いAI変革を実現できるよう支援することに全力を注いでいます。お客様が責任あるAIを活用し、高い信頼性をもつデジタルサービスを、自信をもって提供できるようになるのです。それこそが、私たちの描いている未来です。


