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2025.08.07 10:00

まだまだ右肩上がりのモバイルアプリ経済、世界を狙う「日本発アプリ」の現在と未来

モバイルアプリ経済の現在地と展望を、活躍する日本のデベロッパ各位に聞いた

ゲームを通じて健康な睡眠習慣を根づかせる

世界的な人気を誇るゲームキャラクターを活用し、「楽しく睡眠を計測する」という新しいゲーム体験を創出したのが、ポケモンの「Pokémon Sleep(ポケモンスリープ)」だ。2024年7月20日にグローバルリリース2周年を迎えた本作は、ゲームを通じて健康な睡眠習慣が自然と身につくという独自の価値を提供する。

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ポケモンスリープ推進室のシニアディレクター、小杉要氏は、iPhoneが持つ「普及台数の多さ」と「端末間の性能差の少なさ」が多くのユーザーに安定した体験を提供する上で利点だと語る。

ポケスリは2024年9月から、Apple Watchで計測した睡眠データをヘルスケアアプリ経由で取り込めるようになった。これによりスマートフォン単体では判定が難しい「体動がほとんどない状態」でも正確なデータが取得可能になり、睡眠計測の質が向上したという。この機能追加は特に欧米を中心に新規ユーザー増につながり、Apple Watch利用者は継続率も高いというデータも出ている。

ポケモンのポケモンスリープ推進室シニアディレクター、小杉要氏。スマホとスマートウォッチのデバイス連携がユーザー数拡大につながったと語る
ポケモンのポケモンスリープ推進室シニアディレクター、小杉要氏。スマホとスマートウォッチのデバイス連携がユーザー数拡大につながったと語る

同社はApp Storeが他のプラットフォームと一線を画す特長として、エキスパートがアプリを実際にプレイして執筆する「Today」タブや「エディターのおすすめ」といった編集記事の存在を挙げる。実際、「Today」タブ掲載日には前日比157%、「エディターのおすすめ」選出時には同284%の新規ダウンロード増を記録したことがあるという。これらの数値のすべてが記事掲載による影響とは断定できないものの、掲載日にダウンロード数が大きく伸びたという実績は残った。ストア内でアプリの「発見」を促すことが重要であることを示している。

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App Storeで配信されている、おすすめのアプリを見つけて紹介するエディターという専任のガイドによるナビゲーションがアプリのダウンロード増に大きく影響することがあるという
App Storeで配信されている、おすすめのアプリを見つけて紹介するエディターという専任のガイドによるナビゲーションがアプリのダウンロード増に大きく影響することがあるという

グローバル展開におけるメリットも大きい。App Storeが各国の税制や通貨に自動対応するため、パブリッシャー側の負担が大幅に軽減される点は、同社だけでなく多くのデベロッパが指摘するストアの利点だ。「ポケモンスリープ」のように「睡眠アプリ」と「ポケモンゲーム」という2つの側面を持つアプリにとって、特定のユーザー層に響く訴求ができる「CPP(カスタムプロダクトページ)」も有効な機能だという。同社のスタッフは、ストアページのカスタマイズ性にはさらなる向上を期待しつつも、既存の機能を活用しながらアプリの魅力を伝えたいと答えた。

ハードウェアの進化が踊り場を迎える中、イノベーションの主戦場はソフトウェアとそれがもたらす体験に移行しつつあると筆者は考えている。2008年の誕生以来、App Storeは世界中のデベロッパの活躍を支え、濱北氏のような個人の開発者からMIXIやポケモンのような大企業まであらゆる挑戦者に広く門戸を開き、不可欠なプラットフォームであり続けてきた。

彼らはすでに「スマートフォンの次の時代」を見据え、App Storeを起点として新たなイノベーションを起こそうとしている。プラットフォーム側に求められるのは対応するデバイス間のエコシステムを拡大しながら、一方ではSDKのような開発ツールを拡充しつつ、デベロッパたちの創造性を多角的にサポートし続けることにほかならないだろう。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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編集=安井克至

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