ポップスターのジャスティン・ティンバーレイクは8月1日、自身の最近のワールドツアーを通して「ライム病」と闘っていたことを明かした。彼は、この病気の症状を「容赦なく衰弱させる」ものと表現し、パフォーマンス中も「激しい神経痛」と「極度の疲労」に苦しんでいたと公表。この発表により、米疾病対策センター(CDC)が毎年数十万件にのぼると推計する、米国で最も一般的な節足動物媒介感染症に注目が集まった。ライム病は日本でも発生しており、「国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト」にも詳細な情報が掲載されている。
ライム病は、広く存在しているにもかかわらず、多くの人は手遅れになるまでこの深刻になり得る病気を認識していない。ライム病の原因や症状、検査や予防方法を理解しておくことは、この病気からの短期間での回復につながるが、さもなくば、慢性の健康問題に苦しむことになりかねない。
ライム病の原因は?
ライム病は、北米では主にボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)という細菌によって引き起こされる。この細菌は、北米の場合はシカダニ(Ixodes scapularis。スカプラリス・マダニ)と呼ばれるマダニの一種に寄生するもので、野山に生息するマダニにかまれることで人間に感染する。日本においては、シュルツェ・マダニ(Ixodes persulcatus)にかまれた後に発症するケースがほとんどとなっている。
マダニはゴマ粒ほどの大きさの小さな生き物で、ネズミなどげっ歯類の動物に吸血することで細菌を取り込む。このダニがその後人間に付着し、36〜48時間以上吸血すると、細菌が人間の血流に入り込む。
この病気は、これらマダニが森や草地に生息する米国北東部、中部大西洋岸地域、北中部地域で最も多く見られる。感染のピークは、マダニが最も活発で人々が屋外で過ごす時間が増える暖かい季節(春から夏、秋の初旬)とされる。



