ヘルスケア

2025.08.10 14:00

激しい神経痛で苦しむ「ライム病」との闘いをセレブが告白、その実態と予防法は?

ジャスティン・ティンバーレイク(Photo by Lyvans Boolaky/WireImage)

症状の見分け方

ライム病の症状は段階的に現れることが多いが、すべての人が同じ経過をたどるわけではない。早期に気づき、診断を受けることが効果的な治療の鍵となる。

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早期(刺されてから3〜30日):ライム病の典型的なサインは「遊走性紅斑」と呼ばれる特徴的な発疹で、70〜80%の症例で刺された部位に現れる。この赤い発疹は、射撃の標的のような模様を描きながら外側へ広がっていくことが多いが、一様に赤く染まった斑として出る場合もある。その他の初期症状には、発熱や悪寒、頭痛、倦怠感、筋肉痛や関節痛などがある。インフルエンザに似た症状として見過ごされやすく、そのまま感染が進行してしまうことも多い。

進行期(数日〜数カ月後):治療を受けずにいると、細菌が全身に広がり、激しい頭痛や首のこわばり、顔面神経麻痺や、強い関節痛と腫れを伴う関節炎、不整脈、神経痛などを引き起こす。

後期(数カ月〜数年後):さらに放置すると、重度の関節炎や神経症状が慢性化し、手足のしびれや感覚異常、集中力や記憶力の低下などが長期的に続くことがある。

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ライム病の典型的なサインは「遊走性紅斑」と呼ばれる特徴的な発疹で、70〜80%の症例で刺された部位に現れる。この赤い発疹は、射撃の標的のような模様を描きながら外側へ広がっていくことが多い。 JerryCallaghan / Getty Images
ライム病の典型的なサインは「遊走性紅斑」と呼ばれる特徴的な発疹で、70〜80%の症例で刺された部位に現れる。この赤い発疹は、射撃の標的のような模様を描きながら外側へ広がっていくことが多い。 JerryCallaghan / Getty Images

ライム病の検査

ライム病は、症状がほかの感染症とよく似ているため診断が難しい。また、精度の高い単一の検査はなく、特に感染初期は標準的な血液検査で検出できないことがある。CDCは、ライム病の診断に抗体を検出する二段階の血清学的検査を推奨している。この病気の抗体は感染後10〜14日ほど経たないと血中で検出できないため、初期感染の診断には限界がある。一般的な診断手順は下記の2つのプロセスを経ることになる。

・ELISA(酵素免疫測定法)
最初に行うスクリーニング検査で、ライム病の原因菌に対する抗体を検出する。ただし、偽陽性が出ることがあり、症状が出始めた直後は陰性になることも多い。

・ウエスタンブロット法
ELISAが陽性または疑陽性の場合に行うより特異性の高い検査で、ライム病抗体の存在を確認する。

これらの検査は、原因菌そのものではなく、感染に対する免疫応答を検出する。そのため、治療が成功しても数カ月から数年にわたり陽性反応が出続ける場合がある。このため医師は通常、症状やダニに刺された可能性、身体診察の結果をもとに総合的に診断し、血液検査はあくまで補助的に用いる。分子生物学的検査(PCR法)も存在するが、診断の精度は限定的だ。

また、感染初期に特徴的な発疹がある場合、医師は検査結果を待たずにすぐ治療を開始することが多い。この病気は初期の治療が最も効果的だからだ。

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編集=上田裕資

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