岐路に立つラブブの行方
ラブブは今後、もしかしたら、長期的に安定したニッチブランドとして定着するかもしれない。これは、オークションでの高値の落札、熱心なファンコミュニティ、Crybaby(クライベイビー)や Dimoo(ディムー)といった派生キャラクターがブランドのDNAをつなぎ続ける未来だ。しかし、ブームが失速して、偽物があふれて限定感が損なわれ、移り気なZ世代のファンが別のキャラクターに乗り換えてしまう可能性もある。
そして、ポップマートは、アプリ経由でのリリースや正規販売ルートでの値上げを進めているものの、RedditやTikTokでは「すでにピークは過ぎた」という声が広がっている。実際、この数カ月で一部地域では平均転売価格が50%以上も下落している。
「帰属意識」への渇望
ラブブのブームは単なる玩具に対する熱狂を超えたもので、人々の心の隙間を埋めるようなものだった。経済的にも文化的にも不安定な時代にラブブを集めることは、不確かな日常に意味を与えてくれた。またラブブは、若い世代にとって新たな世界へのアクセス手段としても機能した。セレブたちも日常的に持ち歩くものとなったラブブは、上質な美意識の領域へ手頃にアクセスできる象徴的なアイテムとなった。高級ブランドの持つステータスが、手の届かないものに感じられる市場において、ラブブは、たとえ間接的にでも、ファンたちに「その世界に属している」という感覚を与えた。
しかし、批評家たちは今、すぐに廃れるトレンドを追いかけ続ける消費が環境に与える負荷や、中身が分からない「ブラインドボックス」を繰り返し買わせる中毒的な仕組みに疑問を投げかけている。オーストラリアの大手銀行National Australia Bankの投資アナリストは、転売価格が激しく変動するなか、ラブブの収集が投資戦略と誤解される危険性があると警告している。
単なる需要ではなく、揺るぎない愛着を生み出すもの
ラブブのこれまでの道のりは、感情で動く市場のパワーと危うさを浮き彫りにしてきた。初期の物語はファンとのつながりに満ちていたが、今では投機的なスリルが前面に出る状況だ。
結局のところ、感情を軸にしたビジネスは希少性だけで成り立つものではない。ここで重要なのは、人々の欲求をどう管理し、参加者をどう尊重し、パッケージを開けた後も物語の中にコミュニティをどう織り込んでいくかだ。
ラブブのブームは、もう終わったのかもしれないし、まだ終わっていないのかもしれない。しかし、より重要なのはその先に何が起きるかだ。モノの所有よりも「その世界に属する感覚」が重視される時代において、次に勝つコレクションは、その瞬間を超えて築かれるもの、つまり単なる需要ではなく、揺るぎない愛着を生み出すものになる。


