チクングニアウイルスは1950年代、タンザニア南部で初めて確認された。「チクングニア」という名称は、タンザニア南部で使われるキマコンデ語で「ゆがむ」を意味し、激しい関節痛により前屈みになる患者の姿を表している。
感染経路は?
チクングニアウイルスは、感染した蚊が人を刺すことで感染する。人から人への直接感染は起こらないが、感染した人を蚊が刺すことで、その蚊が新たな感染源となる。
ワクチンはある?
米国では2種類のワクチンが承認されている。うち一つは「IXCHIQ」という生ワクチンで、18歳以上に適用される。もう一つはウイルス様粒子(VLP)ワクチンの「VIMKUNYA(ヴィムクニア)」で、12歳以上に適用される。米疾病対策センター(CDC)は、チクングニア熱の発生地域へ渡航する人にのみ、これらのワクチン接種を推奨している。(編集者注:日本では現在、承認されているワクチンはない)
米国内での感染例はある?
米国では国内感染例があるものの、その数は少ない。米国で確認された感染者のほとんどが、海外で感染して入国した人だった。2019年以降、国内で感染した例は報告されていない。
2006年以前は極めてまれだったが、06~13年には年間平均感染確認数が28例に増加し、2014年には渡航関連の症例が3000例近くに達した。その後は減少に転じ、2021年には36件にまで落ち込んだ。しかしここ数年は再び増加傾向にあり、2024年には199件、2025年には現在までに46件が報告されている。
感染リスクが高い国・地域
CDCはブラジル、コロンビア、インド、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、タイ、フィリピンへの渡航者は感染リスクが高いと警告している。加えて、中国の仏山市に対してはレベル2の渡航警戒情報を発出しており、同地域への渡航者に対してワクチン接種を推奨。訪問する際は、蚊に刺されないよう虫除け剤の使用や、長袖・長ズボンの着用を呼び掛けている。妊娠中の女性は、渡航を控えるべきとされる。


