ドナルド・トランプ米大統領は、インドによるロシア産原油の購入を理由に、同国への関税率を引き上げる方針を示した。これは、インドが今後もロシアからの割安原油の購入を継続する姿勢を見せていることに対する、7月の警告に続く措置である。
トランプは、インドに対する現行の関税率25%を「大幅」に引き上げると発言し、インド政府が「ロシアの戦争機械によってウクライナでどれだけの人が殺されているか」について関心がないと非難した。
新たな関税率の具体的な数値は明らかになっていないが、トランプは7月に、ロシアとウクライナが和平合意を結ばない限り、ロシアと石油取引を行う国には100%の関税を課すと警告していた。
ロイターによると、インドはロシア産海上輸送原油の最大の購入国である。主要なインドの精製業者は、トランプの関税警告を受けて先週ロシア産原油の購入を一時停止したが、ロシアとの長期契約を維持していることから、完全に取引を打ち切るには至っていない。
インドのハルディープ・シン・プリ石油・天然ガス相は7月、CNBCの取材に対し、ロシア産原油の購入は世界の原油価格の安定化に寄与していると述べた。また、インドは米国から「価格上限の範囲内で」購入を継続するよう助言を受けていたとも語っている。
ロシアは、2022年にウクライナ侵攻を理由に西側諸国の制裁を受けた後、割引価格での原油提供を開始した。具体的には、EUがロシア産原油の価格上限を1バレル60ドルに設定しており、これは指標とされるブレント原油の価格(米国時間8月5日午後時点で先物価格が68.84ドル)よりも低い。この価格設定により、インドは割安なロシア原油を輸入して一部を国内精製に用い、残りを他国へ輸出して利益を上げている。International Energy Agencyによれば、このような割引価格は、エネルギー需要が「急速に増加」するインドにとって、エネルギーコストの抑制に役立っている。
インドがロシアとの取引で譲歩する可能性は低いとみられており、インド外務省の報道官であるランディール・ジャイスワルは、The Guardianに対し、インドとロシアの間には「安定した、実績あるパートナーシップ」が存在すると述べている。



