グローバル・コンサルティングファームであり、クライアントのCEOらとともに、最先端かつ社会的インパクトの大きな経営課題に取り組むボストン コンサルティング グループ(以下、BCG)。そうした仕事内容から100%仕事にコミットするのが常識で、プライベートとの両立は難しいと考える人も多いだろう。
しかし、BCGはその常識を覆す。専門分野でトップキャリアを目指すことと、家族との時間を大切にすること。その両立を可能にする柔軟な働き方と支援制度が、BCGには整っている。どちらかを犠牲にすることなく、個人の価値観に合ったキャリアを実現できる環境があるというのだ。
今回は、自らの夢に向かって走る2名の女性社員に焦点を当てる。BCGならではのダイナミックなプロジェクトに対してチームで挑む体制と、深いコミュニケーションやコラボレーション、そこから生まれる自分らしい働き方について聞いた。
産業界や社会へのインパクトが大きいプロジェクトに挑戦できるBCGの環境
「企業や政府の意思決定者と直接コミュニケーションをするなかで、BCGには非常に複雑性が高く、本質的な変革が求められる挑戦的なテーマが集まります」
そう語るのはBCGでパートナーを務め、サステナビリティ領域のエキスパートとしてパブリックセクターに所属、官公庁や政府を対象にした仕事を手がける鈴木香菜(以下、鈴木)だ。
彼女は前職でもコンサルティングファームに勤務していた。新卒当時はサステナビリティおよび気候変動問題の解決を志し、まずは該当領域に強みをもつシンクタンクに2年ほど勤め、その後前職のコンサルティングファームを経て、BCGに加わった。
「前職での仕事も楽しく、特に不満があったわけではありません。ただ、私自身が目指していたテーマのスケールがあまりに大きく、クライアントに対し高い価値を出すため、チームでより協働する体制を築いたり、さまざまな事例や知見を得る必要があるのではないかという漠然とした思いをもつようになりました。
そこで、グローバル規模の社会的なインパクトが大きなプロジェクトに対し、社内の多様な専門性を持つメンバーと連携しながら成果を追求するという、BCGの組織運営のあり方に魅力を感じました」
鈴木がBCGで実際に仕事をしていくなかで驚いたのは、案件が始まるタイミングで「このプロジェクトの価値は何か」というところから、チームで徹底的に議論することだった。
BCGで扱うサステナビリティ領域のテーマは、大きな政策の分岐点であったり、どのような政策を立てるべきかといった相談に及んだりすることが多く、その成果が生み出すインパクトは国家レベルに及ぶ。
クライアントの背景や組織の力学を徹底的に理解したうえで、どこに物事を動かすためのレバーが存在し、そのレバーを引くことでどのような影響が社会にもたらされるかを見極める。
ひとつの意思決定が業界全体に多大な影響を及ぼす可能性があるため、責任は極めて重い。だからこそ、さまざまな知見や視点をもつメンバーが集まり、“将棋を組む”ように一手一手を慎重に決定しながら戦略的にプロジェクトを進めている。
一社の課題が業界や社会全体の変革につながる
一方、政府系金融機関でマクロ経済の調査・予測、ミクロレベルの調査、国際連携業務などに従事した後、オックスフォード大学でMBAを取得し、2020年にBCGにジョインしたのが庄子可那子(以下、庄子)だ。
現在は産業財の観点から、気候変動・サステナビリティ等のプロジェクトに従事しているプロジェクト リーダーだ。庄子は「一見すると企業単体の課題に見えるテーマも、実際には業界や社会全体の構造的な課題であることが多い」と語る。
「例えば、ある地域を対象としたテーマであっても、グローバルの潮流をステークホルダーに伝えることで議論が動き出すことがあります。そうした場面では、グローバル・コンサルティングファームであるBCGの強みが発揮されます。各国のエキスパートにすぐに知見を求めることができ、日本での議論にも即座に参加してくれるのです。
社内でもクライアントに対して価値を発揮するためであれば、プロジェクトの垣根を越えて協力していく、BCG全体がチームとなり成果を出していくのはBCG特有のカルチャーだと思います」
では、そうしたチームはどのように形づくられていくのだろうか。鈴木が説明する。
「BCGではプロジェクトが決まると、マネージャー層以上の場合、MDP(マネージング・ディレクター&パートナー)と本人がキャリアの志向性等を含めて話し合いながら、専門性が最大限に生きるチームを組成します。また自身の社内のつながりで“この分野ならこの人が詳しい”というエキスパートに自らアプローチできる環境が整っており、知見の連鎖が自然と生まれてくるのです。チーム内ではフラットに意見を出し合い、徹底的に議論しながら最適解を探る文化が根付いています」
信頼と感謝が力に変わる──ベストチームが描くプロジェクト成功の方程式
例えば、BCGでは多いときには週に一回以上のフィードバック面談を設け、若手人材と良かった点や改善点を率直に話し合うカルチャーが根付いている。また、若手・中堅社員が主体となって活動する社内活動「CIC(カルチャー・イノベーション・コミッティ)」では、より良い職場環境づくりや若手の成長を支える仕組みについて、活発な議論が行われている。庄子は、こうした取り組みにより、社員一人ひとりの成長を後押しするサポート制度や環境・制度は極めて充実していると指摘する。
「BCGでは自分から手がけたいプロジェクトに挙手する仕組みが整っています。そのため自分自身のキャリアを自らの手でデザインすることが可能です。自分の志向性に合った案件に能動的に関わることができ、それゆえに得られる成長実感は大きいです。
チーム編成の際にはスキルや専門性に加えて、メンバー一人ひとりのライフステージや働き方の希望にもしっかりと向き合い、どのような形で貢献できるかを丁寧に話し合います」
BCGのチームには自然と助け合いの精神が根付いているのだと彼女は強調する。直接のメリットがあるかどうかに関わらず、手を差し伸べるのが当たり前。その根底には「Giver(与える人)であることがチームの理想的なあり方」という価値観が息づいている。
「さらに、『以前助けてもらったから今度はこちらが手を差し伸べたい』と思える、“信頼と感謝が循環する関係性”も育まれています。それが、BCGのチームワークの強さの源なのです」
ライフステージの変化にも対応できる柔軟な制度と周囲のサポート
鈴木はパブリックセクターにおいて「脱炭素×イノベーション」というテーマで、気候変動対応に取り組むスタートアップに注目している。経済産業省等の組織と連携し、どのような政策を講じるべきかを検討しているという。例えば、M&Aを促進するための施策や、スタートアップと大企業を結びつける仕組みなど、自律的なイノベーションが生まれる環境整備に尽力していきたいとのことだ。
その一方で、彼女は二児の母としてライフステージの変化を経験している。かつては昼夜を問わないハードワークを行うイメージの強かったコンサルティングファーム。しかし、現在ではその姿も大きく様変わりしてきたと、鈴木は実感している。
「女性を中心に、ライフステージの変化と仕事の両立は難しいと考えられていましたが、BCGはより良いあり方を常に模索し、働き方を進化させています。フレックスキャパシティ(時短制度)やベビーシッターのサポート制度が活用できることに加え、MDPがメンターとしてついて、寄り添って話を聞いてくれるところが個人的には非常にありがたいです。プロジェクト開始前に各自の働き方の制約も、しっかり共有する場もあります。産休・育休復帰前にどのくらいの負荷で働きたいのかを綿密に打ち合わせするので、自分の盛り上げたい領域のプロジェクトに引き続き関われています」
また、C&S(Climate/気候変動対策& Sustainability/持続可能性)プラクティスに参加し、現在は技術系の重工系企業や政府、政府系機関などと一貫してC&S系のトピックに取り組んでいる庄子もまた、1児の母である。
「クライアントへ価値を出すことに徹底しているところがBCGのスタイルで、成果にこだわるからこそ、働き方には柔軟性があります。それでも自分のライフステージに変化があったときには不安を感じました。
『ここまではやりたいけどそれ以上は、最初は不安です』
とメンターに伝えたところ、移行期間を設け、徐々に責任範囲を広げていく働き方を提案してくれました。一緒にどのようなかたちなら貢献できるかを考えてくれるところが素晴らしいと思いました」
現在も彼女は9時から5時のコアタイムに仕事に集中して、プロジェクトに貢献し続けている。
持続可能な社会の実現は仲間と共に
最後に二人の将来展望を聞いた。
サステナビリティ領域のエキスパートであり、同領域をライフワークにする志をもつ鈴木は語る。
「直近で言うとスタートアップと事業会社のコラボレーションを推進したいと思います。サプライチェーン全体の脱炭素化において、脱炭素に取り組んだ会社が適切に評価され、付加価値として還流する仕組みのサポートをしていきたいと考えています。そうした社会の仕組みづくりや変革にチャレンジしたい方にはBCGは最高の環境ですので、ぜひ門戸を叩いていただきたいです」
庄子もまた、脱炭素技術が主流になる世の中の実現を目標に掲げている。
「ごく一部の環境先進プレーヤーだけの取り組みではなく、企業間の連携や異業種間の連携、官民の連携を通じて、みんなで取り組むべき課題であるという流れをつくり出すことに貢献したいと思います。BCGでは、そうした変革を本気で推進できる機会と仲間が揃っています。少しでも興味をもっていただけたなら、ぜひ一緒に挑戦しましょう 」
持続可能な社会の実現を、使命と覚悟で背負うふたりの言葉は、未来を他人任せにしない“覚悟ある挑戦者”への確かな呼び水となるだろう。
ボストンコンサルティンググループ
https://www.bcg.com/ja-jp/
すずき・かな◎東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修了。外資系コンサルティングファームなどを経て、2022年にBCGに入社。BCG気候変動・サステナビリティグループ、パブリックセクターグループのコアメンバー。直近では、スタートアップ関連の政策立案や事業会社との連携促進支援にも携わっている。プライベートでは2児の母。
しょうじ・かなこ◎横浜国立大学経済学部卒業。政府系金融機関、オックスフォード大学MBAを経て、2020年にBCGに入社。前職では、マクロ経済の調査・予測、ミクロレベルの調査、国際連携業務などに従事。現在は、気候変動・サステナビリティ等のプロジェクトを中心に従事。産業財、金融機関や交通、エネルギー、公的部門向けの脱炭素戦略策定等に携わる。プライベートでは1児の母。



