宇宙

2025.08.08 10:30

火星で簡単に水が手に入る可能性、高純度の氷河が大量に存在 未来の入植者の水源に

火星の中緯度域に多数存在する氷河状の地形の1つ。隆起部の間の斜面を低地側に物質が流れ出しているような地形が見られ、過去にここで氷が堆積したことを示している。NASAの火星周回探査機マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)が撮影(NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

火星の中緯度域に多数存在する氷河状の地形の1つ。隆起部の間の斜面を低地側に物質が流れ出しているような地形が見られ、過去にここで氷が堆積したことを示している。NASAの火星周回探査機マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)が撮影(NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

火星で人類が暮らせる日が来ることを夢見ている人は多いが、将来の火星移住計画にとっての課題が1つある。水を入手することだ。あらゆる種類の共同体にとって、水を利用できることが極めて重要になる。だが、水は予想されていたよりも簡単に見つかるかもしれないことが、最新の研究結果で明らかになった。火星の氷河は、大部分が氷混じりの岩石だとこれまで考えられていたが、実際は火星表面の全域にわたって、80%以上が氷でできていることが判明したのだ。

今回の最新研究を実施したイスラエル・ワイツマン科学研究所や米惑星科学研究所(PSI)などの研究者チームは、火星氷河の謎の解明を試みる中で、氷河の組成を突き止めようとした過去の取り組みが一貫性に欠けていたことに気がついた。そこで研究チームは最初に観測方法の標準化を図った。20年近く火星を周回探査しているNASAの無人機マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)に搭載のレーダー機器を用いて、火星の氷河は大部分が氷で、表面が岩石や砂塵に覆われていることを、研究チームは明らかにした。さらに、火星のさまざまな地域にある氷河は、反対側の半球に分布する場合でさえも、水の比率がほぼ一様であることを、研究チームは発見した。

研究チームは「このことが重要である理由は、氷河の形成と保存のメカニズムがあらゆる場所で同じである可能性が高いことを示しているからだ」として「このことから、火星は広範囲におよぶ1回の氷河化作用か、同様の特性を持つ複数回の氷河化を経験したと結論づけられる。観測対象地と観測技法を初めて1つにまとめたことにより、この種の氷河に関する理解を統一することができた」と説明している。

今回の研究結果により、未来の火星の住人が水を入手しやすくなることで、火星に永続的な植民地ができる日が来る可能性が高まるに違いない。引き続き注目したい。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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