北米

2025.08.05 14:00

全米150校に拡大の教育スタートアップが破産し突然の学校閉鎖、創業者は新たな道へ?

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経営陣の退任と戦略の対立

2025年1月にベイトマンが取締役を辞任した。2月にはHGEスクールローンチ部門の上級副社長を務めるマリス・メンデス(もう1人のLePorte Schools出身者)が、創業者ガーンの退社を発表した。メンデスは次のように述べていた。

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「当社は現在、組織のリーダーシップの大幅な変化に加えて、自らの過ちによる組織の解散に直面している。当社は壮大な使命を達成しようとするあまり、財務的にも運営的にも十分に支えられない規模まで学校ネットワークを拡大しすぎてしまった。その結果、過去9年間で築き上げた学校コミュニティの約3分の1を閉鎖せざるを得ない状況に置かれている」。

「ハイパーグロース」か「成熟・安定・収益性重視」か

ガーンの新事業のプロフィールには、彼の退社についてこう書かれている。「レイは、取締役会や主要投資家との間で、数年間にわたる見解の不一致が続いた結果、2025年に再び自分の理念に沿った活動を行うために、会社を離れた」。

ここに記載された「見解の不一致」は、事業の「ハイパーグロース(超成長)」を続けるか、それとも「成熟・安定・収益性重視」の運営に移行するかという方針をめぐる対立だったとみられている。裁判資料によると、複数の取締役が辞任した後、ガーンは3月末に取締役に復帰したが、その数週間後に再び辞任していた。

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教育メディア「The74」のエリオット・ハスペルが報じたところによると、当時共同CEOに就任したばかりのメンデスは次のように分析していた。

「閉鎖の主な原因は、投資家が売り文句として評価していた、ハイパースケーリング戦略にある。私たちは、壮大な使命を達成しようとするあまり、財務的にも運営的にも十分に支えられない規模まで学校ネットワークを拡大しすぎてしまった」。

5月末までに、メンデスを含むHGE経営陣ほぼ全員が退社し、HGEの「ガイドポスト・モンテッソーリ」と同じブランド名とロゴを使う国際事業体「ガイドポスト・グローバル・エデュケーション(GGE)」に移籍した。裁判資料によれば、この時点でHGEには選任された役員が1人も存在せず、同社のポートフォリオに残っていた学校はわずか7校だった。筆者が同社に宛てたコメント依頼のメールは送信不能で戻ってきた。

破産申請で明らかになった、巨額の赤字経営の実態

6月27日、HGEは、米テキサス北部地区連邦破産裁判所に事前調整型チャプター11の計画を提出した。この計画によれば、HGEは2025年初頭に複数の重要なローンの返済を延滞し、借り換えや新規資金の確保ができず、その結果、大半の資産と学校が差し押さえされて売却された。

「債務者は、事業を維持するための十分な流動性を確保・創出できなかった」と開示書面には書かれている。HGEは、2020年以降に3億3500万ドル(約492億4500万円)以上を調達していたにもかかわらず、その事業は「営業活動によるキャッシュフローが一度も黒字化したことがなく、継続的に外部資金を必要としていた」という。過去5年間の営業損失は総額で4億4000万ドル(約646億8000万円)を超え、その赤字には学校単位での損失と、月額250万ドル(約3億6750万円)にのぼる本社経費が含まれていた。資金の確保の試みは数多く行われたが、いずれも失敗したという。

一方、破産手続きのスポンサーとしては、1日2時間の学習で全教科を網羅できるとする「2アワーラーニング」が800万ドル(約11億7600万円)を拠出する計画が提示されている。同社は、この再建を経て生まれる新会社を買収する予定で、GGEは知的財産やカリキュラム資産の一部を新会社に提供するという。

しかし米司法省はすでに、この800万ドルの資金の拠出や、GGEを含む下位債権者を上位の支払い優先順位に格上げする動きに異議を申し立てている。ブルームバーグ・ローのベンジャミン・エルナンデスの報道によれば、連邦破産管財人プログラム職員のリサ・L・ランバートは、HGEが既存の200万ドル(約2億9400万円)の債務を上位の支払い順位に組み入れようとする提案に反対している。この裁判の公聴会は、9月3日に開かれる予定だ。

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編集=上田裕資

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