アントレ教育が抱える3つの課題
認識のズレを修正するほかにも、教育現場では複数の課題に取り組む必要がある。ひとつめが、アントレプレナーシップ関連プログラムの体系化だ。学生への動機づけからコンピテンシーの形成、社会実践までをひとつのラーニングジャーニーととらえ、各講座やプログラムがどこに位置づけられるのかを可視化する。こうすることで「闇雲に球を投げる」状況を回避できる。
教育効果を測定するための評価指標の確立も喫緊の課題だ。創造性や課題解決能力など、学生のコンピテンシーの変化をどうとらえるのか。EU(欧州連合)が16年に定めた「EntreComp」や、文部科学省が25年3月に公表した「日本版EntreComp v1」などを参考にしながら、各プログラムの目的や意義、学習効果の見える化に取り組むことが大切だ。
外部のエコシステムとの連携も議題のひとつだ。近年、教育系スタートアップを含めさまざまな企業や団体がアントレプレナーシップ関連のプログラムを手がけている。新規参入が相次ぐ分野だけに連携先選びには一定の「目利き力」が求められるが、学外のステークホルダーと協働しながら、学生が実践的な経験を積める機会を提供することが求められる。
日本政府は22年に「スタートアップ育成5か年計画」を掲げ、グローバル市場で通用するスタートアップの創出に力を入れている。だが、すべての学生が起業を目指すわけではない。企業内での新規事業開発(イントラプレナー)やソーシャルビジネスへの参画など、多様なキャリアパスを提示しながら学生が自らの興味や目標に合わせて学べるスキームが望まれる。
アントレプレナーシップ教育の裾野が拡大しつつある今、それぞれが抱えている課題をテーブルに出し合いながら、持続的かつ豊かな価値の創造につなげたい。


