国内

2025.08.14 08:30

新浪剛史らが語る日本経済の鍵、共助資本主義の今と未来

新浪剛史(経済同友会代表幹事、サントリーホールディングス代表取締役会長、写真中央)、米良はるか(インパクトスタートアップ協会代表理事、READYFOR代表取締役CEO、写真左)、小沼大地(新公益連盟共同代表理事、クロスフィールズ共同創業者・代表理事、写真右)、新谷和実(東京大学新領域創成科学研究科国際協力学専攻、The Peace FrontCEO、写真中央左)、入江七葉(上智大学経済学部経営学科、写真中央右)

小沼:資本主義のもとで分断している人たちを包摂していくうえで大切なのは「体感値」と「共感」です。AIが社会課題の解決方法を示す時代になったとしても、「思い」がないと分断を突破することはできません。思いは共感から生まれ、熱量は「これは許せない」「なんとかしたい」といった感情から生まれる。だからこそ、より多くの人たちが体感値や共感を得られる経験をすることがとても大切です。学生たちには立場の違う人たちとどんどん交流して、難しい問題に挑戦してほしいです。

advertisement

新浪:日本の企業経営者も、もっと社会課題の現場に足を運ばないといけません。日本の経営者は、根っこでは皆、仲間なのです。その場に出て現実を見たら、行動を起こさなくてはと考える人が増えると確信しています。

原体験とロールモデルが人を変える

新浪:かつての日本経済は、社会をかえりみずに利益だけを追い求めた結果、バブルまで行きつき、30年の苦しい長期停滞に陥ってしまった。同じようなことを二度と繰り返してはならないという思いから、私は共助資本主義を提唱しました。これからのリーダーは社会的インパクトを考えて意思決定をする人だと思うし、そうあってほしいです。

小沼:社会課題の解決が進んだとしても、社会の矛盾は絶対になくなりません。リーダーには、見えないものに想像力を働かせる姿勢が求められます。

advertisement

新谷:最近は大学でもいろいろなアントレプレナーシップ(起業家精神)関連のプログラムが用意されていますが、起業家精神と起業家の実態は違うと感じます。そもそも、アントレプレナーシップとはプログラムで醸成できるものなのか疑問です。

小沼:アントレプレナーシップとは、志を打ち立てて物事に踏み出す力だと私は思います。「これがやりたい」と思うきっかけになる原体験とロールモデルの存在。このふたつがあると人は変わります。

米良:私は学生時代にスタンフォード大学に留学して、起業家というプロフェッショナルにたくさん出会ったことが大きなターニングポイントになりました。自分はこれがやりたい、こんなふうに社会を変えたい、こういうサービスやプロダクトをつくりたいと語る人たちの姿にワクワクしました。ビジネスの才能や課題を認知する力なども大切ではありますが、パッションをもって新しい価値の創造に取り組むリーダーや、それを純粋な気持ちで応援できる人がもっと増えてほしいです。

小沼:今の学生たちのなかには、トランプ大統領を生み出した世界と社会の歪みのようなものを直そうと考える人が少なくないはずです。このような思いを抱く学生たちの憧れの対象となるロールモデルをどう定義づけるのか、そのような人が生まれるかどうかが、志のあるリーダーを増やすうえで重要だと思います。

入江:私は少し前まで、将来は安定した企業に入ろうと考えていました。でも、海外留学やインターンシップなどを通じて社会課題を目の当たりにしたのと同時に、日本よりも課題解決への取り組みが進んでいる国があると知ったことで、ビジネスと環境改善の両立が当たり前の社会をつくりたいと思うようになりました。

一方で、私が今起業したところで社会に大きなインパクトが与えられるとは思えません。

次ページ > 変えたい対象のことをきちんと理解することが大切

文=瀬戸久美子 写真=石田 寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事