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2025.08.14 08:30

新浪剛史らが語る日本経済の鍵、共助資本主義の今と未来

新浪剛史(経済同友会代表幹事、サントリーホールディングス代表取締役会長、写真中央)、米良はるか(インパクトスタートアップ協会代表理事、READYFOR代表取締役CEO、写真左)、小沼大地(新公益連盟共同代表理事、クロスフィールズ共同創業者・代表理事、写真右)、新谷和実(東京大学新領域創成科学研究科国際協力学専攻、The Peace FrontCEO、写真中央左)、入江七葉(上智大学経済学部経営学科、写真中央右)

新浪剛史(経済同友会代表幹事、サントリーホールディングス代表取締役会長、写真中央)、米良はるか(インパクトスタートアップ協会代表理事、READYFOR代表取締役CEO、写真左)、小沼大地(新公益連盟共同代表理事、クロスフィールズ共同創業者・代表理事、写真右)、新谷和実(東京大学新領域創成科学研究科国際協力学専攻、The Peace FrontCEO、写真中央左)、入江七葉(上智大学経済学部経営学科、写真中央右)

「共助資本主義」をキーワードに、大企業、スタートアップ、NPO、大学生が集ったマルチセクター・ダイアローグの場で、世代を超えた5人による座談会を行った。


気候変動に飢餓や貧困、社会や地域の分断──。さまざまな課題を解決するためには、これまでにないイノベーティブな枠組みや手法が不可欠だ。そんななか、2023年4月に経済同友会代表幹事に着任した新浪剛史が提唱したのが「共助資本主義」だ。民間主導で、成長と共助を両立させながら社会の包摂を目指す。23年7月には経済同友会とインパクトスタートアップ協会および新公益連盟が、協働に向けて連携協定を締結。25年2月には「共助資本主義の実現に向けた大学連合」(SOLVE!)が誕生し、東京大学をはじめ14の大学が活動に参画した。私たちは、社会課題の解決にいかに主体的に挑むべきか。新浪を中心に、さまざまな世代やセクターに身を置く5人が対話を通じて語り合う。

新浪剛史(以下、新浪共助資本主義の現時点での進捗は40%です。もっと多くの企業に共助の必要性を理解していただかなければなりません。

小沼大地(以下、小沼企業を動かすには、取り組みを通じてどのような便益があるかなど明確なインセンティブを示すことが必要だと思います。誰ひとり取り残さない社会の実現に向けて、企業、行政、ソーシャルセクターがそれぞれの役割において解ける課題に挑戦することが大切です。

米良はるか(以下、米良世界や社会の分断が私たちの生活を脅かしているという感覚や、安定的な生活を失ってしまうかもしれないという不安が立ちはだかるなか、まさに共助資本主義の実現を本格的に検討しなくてはいけないモードになってきました。利益を出すことと共助のバランスを取ることが必要であり、そのためには世代やセクターを超えた対話が重要だという認識はより一層広がっていくのではないかと思います。

新浪:学生のおふたりは、企業が利益を出すことについてどう思いますか。

新谷和実(以下、新谷利益を出すことにはポジティブです。利益がないと社会や生活が成り立たなくなりますし、経済の悪化は戦争といったマイナスの事態を引き起こすこともあります。一方で、企業が利益を何に使うのかが気になります。

入江七葉(以下、入江私も、利益を出すこと自体は必要だと思います。もし私が経営者で、利益を自由に使っていいよと言われたら、環境配慮型の農業を推進するための機械を農家に届けたり、ハードインフラを整えたりすることに使いたいです。

新浪:利益をどう出すのか。利益は誰のものか。会社は誰のものなのか。学生の皆さんには、こうした問いについてぜひ考えていただきたい。明確な答えがないことを考え抜く。これこそが、学生の皆さんに求められていることです。

新谷:私は研究活動やNPOの活動を通じて社会課題に取り組む人や企業を増やそうと取り組んでいますが、世代や業界によって物事のとらえ方が違う点に難しさを覚えます。

米良:立場によってさまざまな利害があるなか、共通の課題解決に向けて協業するためには組織と組織、人と人との間に信頼関係を築くことが重要です。小沼さんは常々「ソーシャルとビジネスのバイリンガル人材が大事」だとおっしゃっていますが、私の場合、政府系の委員や大企業の社外取締役を務めるなかでいろいろな人たちと共通言語をもてるようになりました。世代や業界間の分断を超えて協働できているのは、そのおかげだと思います。

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文=瀬戸久美子 写真=石田 寛

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