宇宙

2025.08.04 10:30

生命自体が金星似の系外惑星での「生命存在可能な期間を延長」する可能性

宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)の金星探査機「あかつき」が紫外線で捉えた金星の昼面の合成擬似カラー画像。全体を覆う硫酸でできた雲の高度約70 kmにある雲頂付近を観測していると考えられている。あかつきに搭載の紫外線カメラUVIで2016年12月23日に撮影(ISAS/JAXA)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所(ISAS)の金星探査機「あかつき」が紫外線で捉えた金星の昼面の合成擬似カラー画像。全体を覆う硫酸でできた雲の高度約70 kmにある雲頂付近を観測していると考えられている。あかつきに搭載の紫外線カメラUVIで2016年12月23日に撮影(ISAS/JAXA)

地球に複雑な生命が生息できる原因として主に考えられているのは、プレートテクトニクスによる地球物理学的作用があるからだ。これは地球の地殻構造プレートが、大量の二酸化炭素(CO2)を地球の大気から継続的に除去し、地殻に取り込んで再循環させるのを可能にする仕組みのことだ。

それとは対照的に、太陽系外惑星系のハビタブルゾーン(生命生存可能領域)の内縁にある金星似の惑星は「停滞蓋」と呼ばれる、表層全体が固くて水平運動のない単一の地殻に覆われた状態にあると考えられている。ここでは、惑星大気の系統的な炭素循環は行われない。結果として、地獄のような暴走温室効果が早期に発生することになる。

それでも、天文学誌Astronomy & Astrophysicsに掲載された論文では、恒星系のハビタブルゾーンの内縁にある惑星は生命生存可能な状態を、従来考えられていたよりも最大で20億年長く維持できる可能性があるとする仮説を提唱している。これは、この惑星上で生命が暴走温室効果を回避できるほど早期に進化しているという条件に基づくものだ。

もしそうならそれは、複雑な生命の進化には適さないとこれまで見られていた惑星が、知的生命の進化を支えられるようになるかもしれないことを意味するだろう。

論文の筆頭執筆者で、ドイツの気候変動ポツダム研究所(PIK)の惑星科学者のデニス・ヘーニングは、取材に応じた電子メールで、今回のモデル研究では太陽系外惑星の生命を特定するこれまでにない斬新な方法について調べたと語っている。それは、CO2濃度が非常に高いと通常は予想される惑星における大気中のCO2濃度が低いものを探す方法だという。

ヘーニングによると、主星の近くにある惑星は通常、暴走温室効果に見舞われ、CO2に富む大気になる。だが、生物は風化を促進し、CO2を除去し、生命生存可能な状態を数十億年間延長することで、気温の上昇を阻止できると、ヘーニングは説明した。

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翻訳=河原稔

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