ストーリーに埋め込まれた事実は記憶に残る
研究によれば、ストーリーに埋め込まれた事実は、「単に要点やデータを列挙するよりも22倍記憶に残る」という。
彼はクライアントに、視覚的で具体的、そして逸話的に語るよう指導する。抽象的・理論的な話は像を伴わない。「人間の頭の中では常に映画のフィルムが回っている。話し手が映像を与えなければ、そのフィルムには自分たちの想像した映像が流れ続ける。それは白昼夢と同じです」と彼は説明する。
ズーム健忘症への対処
リモートワークとオンライン会議の拡大は、コミュニケーションにどう影響しただろうか。
多くの人が「Zoom(ズーム)疲れ」を訴えるが、マクゴーワンは「ズームニージア」(Zoomnesia、ズーム健忘症)にも触れる。終わりの見えないオンライン会議で、同じ部屋・同じ鉢植え・同じ窓の景色という変化のない環境に長く座り続けると、文脈的手がかりが乏しくなり情報の定着がさらに難しくなる。ゆえに、思考を引きつける周到なコミュニケーション設計の価値がいっそう高まる。
比喩の重要さを説く「パスタソースの原理」
さらに彼は比喩を多用する。代表例が「パスタソースの原理」だ。鍋に入れたトマトソースを約3時間煮詰めると量は半減するが、風味は格段に濃くなる。「そのように『煮詰める』には時間と労力が要るが、話すことも同じです」とマクゴーワンは語る。
もちろん、彼が料理本を書いたわけではない。だが最新著書『Speak, Memorably』は、食欲をそそるコミュニケーションという一皿を作る材料を確かに提供する。
TEDトークでも、地元ロータリークラブの演壇でも、あるいは月曜朝のスタッフ会議でも、マクゴーワンの洞察は、あなたのコミュニケーション力を大きく高めてくれるはずだ。


