リアル体験に感動した子どもたちが未来をつくる
ショーそのもの以外にも、香取の目に留まったものがある。それは、鑑賞していた人たち、とくに子どもたちの表情だ。
「自分も含めて、周りの人たちも『うわーっ!』となってて。このショーに注目しているそのパワーがこの場所にあふれていたんです。それこそあまりショーとかライブに行かない人とかも、すごいまなざしで、こう……見つめてて。この場所に、見に来てる人たちのパワーが詰まってるからね。いやぁ、素敵な空間でしたね。今ここでこれを見た子どもたちがね、いつか日本に、もっと素敵なショーをつくってくれる人になるかもしれない。本当に夢が広がってます。いっぱい」(香取)

ショーの中で、恐竜が絶滅しても生命のリレーが続いていったように、コロナ禍で直接触れ合うことができなくなっても私たちがつながり続けたように、アートが生み出すリアルな感動が次世代の創造性を育む土壌になるのではないか。自分たちがちゃんと行動して考えて行動すればいくらでもいい未来を作れるんだ、と主人公・アオと同じ年頃の子どもたちが思えるような社会にしたいと、ふたりは思いを重ねていた。
行動や考え方を変えるのは「希望」と「ワクワク」
現代社会は、時に暗いニュースや先行きの見えない不安感に包まれてしまうことがある。大阪・関西万博に関するニュースも、けっしてポジティブなものばかりではない。
香取は、会場に一歩足を踏み入れた瞬間からジワジワと肌で感じる高揚感と前評判とのギャップに戸惑いながら、だからこそ気づいたことがあると話してくれた。
「暗いニュースが多い中で生きてるんだなと感じることも多いけど、このショーを見て、やっぱり未来に向けて前向きに生きないとって思えました。なんか未来を見ていいんだというか。遠い未来じゃない、華やかな未来っていうものを、追いかけていいんだなって」
香取が本能的に感じたこの未来への前向きな気持ちこそが、田中がショーに込めた大切にしたいメッセージのひとつだった。
「香取さんは、僕がずっと『希望』や『ワクワク』をいただいてきた方なんで、本当に光栄すぎる感想です。昔に比べると、正しいことを頭で理解していても、なかなか行動や考えが変えられないことが増えてきた気がしてて。でも、そこで楽しく、ワクワクするような伝え方がもしできたら……と。やっぱり『希望』って、どんな力より強いですから」(田中)
フランス館など他のパビリオンもまわった香取はライブやリアルな力についても語った。「SNSに(動画を)あげてる人もいるだろうし、映像で見る楽しみもあるかもしれないけど、生で見るのには勝てないよね。むしろ、今こそ、その可能性と重要性が大きくなっていると思う。そこは忘れないでほしいかなぁと。見どころいっぱいで大変だろうけど、絶対このショーに時間調整してほしいですね」と、大きな笑顔で話した。


