大阪万博「水上スペクタクルショー」に見る、アートの効能 │香取慎吾×田中直基

(左から)香取慎吾、クリエイティブディレクターの田中直基

ウォータープラザの中央には、水のスクリーンをつくりだす「ウォーターカスケード」がそびえたち、幅約200メートル、奥行き約60メートルの立体的な舞台空間となる。約300基の噴水から放たれた水は、風のように空間を駆け巡ったかと思えば、熱い炎を一瞬にして鎮め、生命の躍動をダイナミックに表現する。さらに、炎やスモークといった特殊効果、そして臨場感を高める立体音響が融合し、観客は幻想的なストーリーへと没入していく。

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「もともとこういうショーが好きで、色々な国で色々な噴水ショーを見てきたんですけど、これは、本当に見たことないショーだなって思った」

そうショーの斬新さを評価するのは香取。音楽活動のほかに、アーティストとしての顔も持ち、24年に初めての全国巡回個展「WHO AM I」を行った。23年に「サントリー愛鳥活動50周年キャンペーン」に鳥のイラストを提供するなど、クライアントワークもこなす点は田中とも共通する。ライブの演出を担当していたという香取にとって、万博で各国のパビリオンやイベントを巡ることは、感性をさらに豊かにする大切な時間でもあったようだ。

「ショーを見ていて僕自身がライブ演出で使う機材もたくさんあったので、田中さんにいろいろ質問しちゃいました(笑)。ホント、見たことのない水の動きをしていたし、噴水と照明と炎とレーザーとかの組み合わせも新しかった。音を立体的にすることで登場人物や風などの動きを再現しているところもとても良い」(香取)

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その裏には、田中の意図もある。世界各国の噴水ショーを観てまわった田中は、今回の万博では単にサイズの大きさで規模感を競うのではなく、体験としての規模感を大きくする演出にリソースを割こうと決めた。一つひとつの噴水の動きや水流の質を緻密にコントロールし、まるでそれ自体が意志を持つかのような表現を追求していった。

「映画に比べると尺が短いので、ストーリーの無駄をそぎ落としてシンプルにしました。その代わり、昔話に出てくる妖怪やアニミズムなど、そこに無いものを想像する楽しさ、余白みたいなものをふんだんに取り入れています。鑑賞する人を信じて解釈を委ねたのです」(田中)。

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文=服部貴美子 編集=田中友梨

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