中国政府が「今年のGDP成長率目標は5%前後」といった最後通告的な目標設定をしつこく続けているために、財政のインセンティブが歪められ、質の低い成長が報われ、国家の問題の根本原因でなく“症状”に対処する非生産的な開発政策に中国自体が縛りつけられてしまっている。中国の問題は、14億人の国民が将来に自信を持てず、貯蓄を減らして消費を増やすことができない点にある。
中国政府が現在行っている一連の借り入れは、崩壊しかかっている国内不動産部門の立て直しにはほとんど寄与しないだろう。大胆で創造的な政策措置を断行しない限り、不動産開発業者のバランスシートから不良資産を取り除くことはできない。また、今行っているような債券発行では、地方財政の健全化や若年層の高い失業率の改善、生産性と透明性の向上、少子高齢化の是正にもつながらない。
債券自警団は中国国債の利回りを押し上げているが、彼らが常に正しいとも限らない。それでも、2025年後半の現在、その動きに一定の根拠があるのは否めない。


