宇宙

2025.08.02 10:00

油井宇宙飛行士の打ち上げ成功、大西船長が待つISSへ 待望されるJAXA補給機の初キャッチ

(c)NASA

期待される油井氏の「HTV-X」キャッチ

今回の着任中に油井氏は、JAXAの新型無人補給機「HTV-X」のデビューフライトに立ち会う可能性がある。JAXAは今年度中の初打ち上げを目指しており、もし予定通り実施されれば、ロボットアームによる同機のキャッチは油井氏が務めると思われる。油井氏は前回のミッションで無人補給機「こうのとり5号」を捕獲した実績を持つ。

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JAXAの新型補給機「HTV-X」には自律的なドッキング機構が搭載される予定だが、初号機においてはISSクルーが操作するロボットアームによってキャッチされる(c)JAXA
JAXAの新型補給機「HTV-X」には自律的なドッキング機構が搭載される予定だが、初号機においてはISSクルーが操作するロボットアームによってキャッチされる(c)JAXA

米国のシエラスペースが開発中の新型補給機「ドリームチェイサー」においても、この夏以降のデビューが予定されているが、その開発遅延を米国Ars Technicaが報じており、油井氏の着任中に打ち上げられるかは不透明な状態にある。油井氏はジョンソン宇宙センターにおいて、ドリームチェイサーをキャッチするトレーニングも完了している。

このほかにクルー11のメンバーは、微小重量環境における月面着陸のシミュレーション、視力保護の研究、その他の人体生理学に関する研究など、月や火星での有人探査や長期滞在を前提としたプログラムに携わる。また、油井氏の船外活動(EVA)に関しては、現時点では何も公表されていない。

スターライナーの余波

油井氏と行動を共にするクルー11のメンバーには、NASAのジーナ・カードマン氏(37)とマイク・フィンク氏(58)のほか、ロスコスモス(ロシアの宇宙機関)のオレグ・プラトノフ氏(39)が参加している。

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実は油井氏とフィンク氏は当初、ボーイングの新型宇宙船「スターライナー」の運用初号機のクルーとしてアサイン(任命)されていた。しかし、2024年6月の有人飛行テストで同機に不具合が発生したため、NASAは同機を無人で地球に帰還させることを決定。その結果、搭乗員であるNASAのバリー・ウィルモア氏とスニ・ウィリアムズ氏は、後続の宇宙船(クルー9)で帰還することになった。その後もスターライナーの検証が継続しているため、油井氏とフィンク氏はクルー11の搭乗員に再アサインされた。

NASAのベテラン宇宙飛行士マイク・フィンク氏。ロボットアームのシミュレーター訓練に臨む様子(c)NASA/Robert Markowitz
NASAのベテラン宇宙飛行士マイク・フィンク氏。ロボットアームのシミュレーター訓練に臨む様子(c)NASA/Robert Markowitz

フィンク氏にとって今回は4回目のミッションとなる。これまでに宇宙に382日間滞在し、船外活動を9回行ったベテランだ。NASAの宇宙飛行士に選出される以前は米空軍に所属し、岐阜基地で日米共同のXF-2戦闘機プログラムに参加した経歴を持ち、日本語にも堪能だという。航空自衛隊出身の油井氏と同様にF-15、さらにF-16のライセンスも持ち、最終階級は大佐。今回はクルードラゴンのパイロットを務める。

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編集=安井克至

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