米連邦通信委員会(FCC)は7月24日、メディア大手パラマウントと映画製作会社スカイダンス・メディアの80億ドル(約1.18兆円。1ドル=148円換算)規模の合併を承認した。この合併は発表から383日を経て正式に認可され、8月7日に完了する予定だ。この取引により、世界2位の富豪でオラクル共同創業者のラリー・エリソン(80)、その息子デービッド・エリソン(42)は、テレビ、映画、ニュース番組などに影響力を及ぼすハリウッド屈指の親子コンビとなる。
父ラリー・エリソンの貢献
パラマウントの会長兼CEOとして、議決権の50%を保有するデービッド・エリソンは、『トップガン マーヴェリック』から『素晴らしき哉、人生!』のリメイクを含む1200本以上の映画タイトルを自社で保有し、2400本の映画の配給権を持つ巨大エンタメ帝国を統括することになる。その中核にはMTV、ニコロデオン、Showtime、CBSニュースなどの有力チャンネルも含まれる。
ただし規制当局への書類によれば、同社の資金の流れや株式を握っているのは、父ラリー・エリソンだ。またこの父は、別の形でも買収の実現に貢献した可能性がある。
合併承認の裏で交わされた譲歩と政治的取引
この合併は、当事者双方の重要な譲歩を経てようやく承認にこぎつけた。パラマウントとトランプ大統領は7月、将来の大統領図書館に充てる資金として1600万ドル(約23億6800万円)を支払うと合意した。これは、CBSの『60ミニッツ』が2024年に放送した、カマラ・ハリス副大統領インタビューの編集に関する訴訟を解決するためだ。
その数週間後にCBSは、トランプ批判で知られるスティーヴン・コルベアの深夜番組を、コスト超過を理由に2026年5月で終了すると発表した。
一方、デービッド・エリソンが設立したスカイダンスは、FCCからの認可通知書によれば、「政治的・思想的に多様な視点を反映させた番組制作」と「国民のニュースメディアへの信頼を損なってきた、偏向を排除するための措置を講じる」ことを文書で約束させられた。



