ほとんどの社員は、職場に問題があることに気づいている。欠陥のあるプロセス、非現実的な納期、状況を把握せずに判断を下すリーダー。こうした問題は、あらゆる職場で起こっている。
だが、こうした問題を指摘するとなると、一筋縄ではいかない。間違ったやり方で懸念を表明すれば、ネガティブで、業務を滞らせる、面倒な人物とみなされるかもしれない。だが、口をつぐんでいても問題は解決せず、それらがもたらす悪影響に対処し続けなくてはならない。
沈黙を貫くのは、声を上げるよりもリスクが高い
ある金融会社のシニアアナリストは、データ報告システムに欠陥があり、エラーが発生していることを知りながら、数カ月にわたって見て見ぬふりをした、と告白する。彼女は、リーダーはこの問題に気づいているが、あえて無視することに決めたのだろう、と考えていたという。
だが、エラーのせいで大口顧客を失う事態となり、チームはあわてて解決策を探し始めた。ようやく彼女が声を上げ、問題は数カ月前からあったと説明すると、上司はこう反応した。「どうしてもっと早く言わなかったんだ?」
こうしたトラブルは、人々が思うよりも頻繁に起こっている。多くの社員は、自分が懸念を表明したところで、無視されるか、あるいは悪くすると、問題を指摘することで厄介者のレッテルを貼られる、と思い込んでいる。だが、問題の指摘を避けていると、さらに深刻な結果につながることが少なくない。目標を達成できず、不要なストレスを抱え、そしてときには、沈黙を貫いたことで評判を落とすこともある。
重要なのは、自分をクレーマーではなく、問題解決者と位置づける形で、懸念を表明することだ。「このプロセスはうまくいきません」ではなく、「Xがボトルネックになっていることに気づきました。合理化の方法を検討してみてはいかがでしょう?」と言ってみよう。
こうした表現をすることで、議論の焦点を、問題から解決策に移し、粗探しをしているのではなく、改善に熱心なのだと強調することができる。
ネガティブに聞こえないように問題を指摘する方法
多くの人々が職場の問題を指摘するのをためらうのは、面倒な人間だと思われたくないからだ。したがって、問題を無視するのではなく、批判よりも解決を促すような表現をすることが最適解だ。
例えば、あるマーケティングディレクターは、リーダーが土壇場で変更を加えたために、キャンペーンがまずい方法に向かっていることに気づいた。そこで、単純に不満を口にするのではなく、効率に関する懸念という形で指摘した。
「リーダーに柔軟性が必要なことはわかります。けれども直前での変更は、仕事量を増やし、遅延を発生させます。早い段階で確認のタイミングを設けて、フィードバックを募ることはできないでしょうか?」
問題を、個人のフラストレーションではなく、チームの生産性と結びつけることで、彼女は反発を受けることなく、同意を取り付けることができた。
優れた戦略の一つは、問題を指摘するときに、必ず解決策の案を添えることだ。問題を指摘するだけで代替案が示されない場合、行き場のない不満のように聞こえかねない。だが、解決策の案を示せば、改善に向けて会話の舵を切ることができる。
例えば、「この報告システムは混乱を招きます」ではなく、こんなふうに言ってみよう。「いくつかのチームが、報告システムに戸惑っているようです。リサーチをしたところ、インターフェースを少し修正するだけで、使いやすくできそうだとわかりました。修正案の概要を作成したら、お役に立てるでしょうか?」
これなら、ただ問題を指摘するだけでなく、積極的に改善に取り組む人間として自分を位置づけられる。



