2018年に、ジョヴァンニは同社の原点であるイタリア・アルバの工場でフォーブスのインタビューに応じている。アルバ工場では、現在もチョコレートバー「キンダー」や「ヌテラ」といった、同社をグローバルブランドへと押し上げた主力製品が製造されている。
インタビューの中で、彼は次のように語っている。「当社には成長し続ける義務があると感じている。私たちは、年平均成長率7.33%という目標にこだわっている。なぜなら、オーガニックな成長であれ、M&Aによる拡大であれ、このペースを10年間維持すれば企業規模は2倍になるからだ」。
それから7年が経ち、フェレロは当初掲げた目標を上回るスピードで事業を拡大している。2017年から2024年までの間に売上高は84%増加しており、仮に今後3年間の成長率が7.33%を下回ったとしても、当初の倍増計画は達成できる見通しだ。さらに、WKケロッグの買収によって、フェレロの米国スーパーマーケットにおけるプレゼンスは一段と強まることになる。「北米のシリアル市場は年間120億ドル(約1兆7700億円)規模にのぼり、WKケロッグを傘下に加えることで、フェレロは小売業者に対する交渉力を大幅に強化できるだろう」と、モーニングスターのエリン・ラッシュは話す。
過去10年に渡る積極的なM&A戦略により、フェレロの事業規模は競合各社に肩を並べつつある。WKケロッグ買収によって、2024年の同社の売上高は、「M&M's」や「スニッカーズ」「カインドバー」、チューインガムの「オービット」などを展開するマースのスナック部門(2024年の推定売上高213億ドル(約3兆1400億円))を上回る見通しだ。ただしマースは、ケロッグ傘下のケラノバに対して、360億ドル(約5兆3200億円)での買収を提案している。ケラノバは「ライスクリスピー・トリート」や「プリングルズ」などのブランドを擁し、昨年の売上高は130億ドル(約1兆9200億円)だった。欧州規制当局の承認が下りれば、マースは再びフェレロを上回る可能性が高い。一方、シカゴを拠点とし、「キャドバリー」や「リッツ」などを展開するモンデリーズは、2024年の売上高が360億ドル(約5兆3200億円)と、依然としてフェレロを大きく引き離している。
しかし、ジョヴァンニが競合他社の動向に一喜一憂することはないだろう。フェレロはこれまで、より規模は小さいものの戦略的に重要な買収を重ねることで、ディールの迅速なクローズと事業の着実な拡大を実現してきた。


