巨大な蓄電池を積んだ専用の電気運搬船で再生可能エネルギーを運ぶという、世界でも類を見ない電力輸送方式の検証が始まる。
国産蓄電池メーカーPower X(パワーエックス)は、その高度な蓄電技術を活かした電気運搬船の開発および海上電力輸送事業を展開すべく、2024年2月に海上パワーグリッドを子会社として設立した。そしてこのほど、屋久島の水力発電所を保有する屋久島電工と、そこで作られたクリーンな電力を種子島などの周辺の島に供給する事業の検証を行うことに合意した。
高い山と豊富な水に恵まれた屋久島は、島内で使う電力のほとんどすべてを水力発電でまかなっているが、周辺の離島ではディーゼルエンジンによる発電が行われている。そこへ屋久島のクリーンな電力が運搬できるようになれば、脱炭素化に大きく貢献するという。
同社は現在、電気運搬船「Power Ark」の初号船「X」の建造を計画している。「X」は全長約90メートルの大型船で、総電池容量は120メガワット時。300世帯の1カ月分に相当する電気を運搬できる。今年中に建造を開始し、2028年の運行開始を目指している。
また、将来は240メガワット時の容量を持つバージ型電気運搬船「Power Barge」の建造も計画している。こちらは推進機関を持たず、別の船に曳航されて瀬戸内海などの波の穏やかな沿岸海域に停泊して電気を供給することになる。
海上パワーグリッドは、こうした離島への電力供給にかぎらず、洋上風力発電所から電力消費地への直接的な電気の運搬、または国境を越えた海上輸送による電力の供給など、多様でグローバルな展開を想定している。この世界初の電気運搬船の活用で「自然エネルギーの爆発的普及に挑む」ということだ。



