サイエンス

2025.08.02 17:00

9割氷に覆われた「世界で最も孤立した島」でたくましく生きる4種の鳥たち

ユキドリ(Shutterstock.com)

2. マカロニペンギン(学名:Eudyptes chrysolophus)

マカロニペンギン(Shutterstock.com)
マカロニペンギン(Shutterstock.com)

目の上に生えた特徴的なオレンジ色の羽根にちなんで名付けられたマカロニペンギンは、荒涼としたブーベ島の風景の中では、最もカラフルな存在の一つだ。この中型のペンギンは、岩の多い海岸に設けられた、賑やかで密集したコロニーで子育てを行う。

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こうしたコロニーは、ブーベ島だけに設けられるわけではないが、12月から翌年の3月にかけては、子育ての時期を迎えたつがい数千組にとって、重要な繁殖地となる。

マカロニペンギンは天性のスイマーで、1年の大部分を海中で過ごし、地上に戻るのは繁殖と換毛の時期に限られる。オキアミと小魚を主なエサとし、海に深く潜った際に捕まえている(時には、水深60mを超える深さまで潜ることさえある)。

地球全体で見ると、ペンギンの仲間では最も個体数の多い種の一つだが、気候変動や入手できるエサの量が不安定なため、その数は減少し続けている。

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3. オオフルマカモメ(学名:Macronectes giganteus)

オオフルマカモメ(Shutterstock.com)
オオフルマカモメ(Shutterstock.com)

約2mの翼開長を持つオオフルマカモメは、ブーベ島の上空に君臨する存在だ。この恐るべき海鳥は、屍肉や他の動物をエサとし、しばしば「海のハゲワシ」と呼ばれる。イカや魚から、アザラシやペンギンの死骸まで、あらゆるものを食べている。

オオフルマカモメは、南極海の上空を何千kmにわたって飛行できる数少ない鳥の一つであり、上昇気流をうまく生かして風の流れに乗り、翼を羽ばたかせることなく何日でも滑空できる。

ブーベ島では島に点在する、氷に覆われていない崖に巣を作る。ユキドリと同様に、1つしか卵を産まない。

見た目こそ恐ろしげだが、オオフルマカモメは環境的な脅威に対して敏感で、生息環境の悪化や延縄漁業、プラスチック汚染などによって日に日に脅かされている。

4. ナンキョククジラドリ(学名:Pachyptila desolata)

ナンキョククジラドリ(Shutterstock.com)
ナンキョククジラドリ(Shutterstock.com)

最後に紹介するのがナンキョククジラドリだ。これは、ブーベ島の中でも寒冷で風が吹き付けるエリアで多く見られる、小型の海鳥だ。

遠目にはカモメと間違えられることも多いが、ナンキョククジラドリはミズナギドリ科の鳥で、海の上を飛ぶ並外れた能力を持つ。英語名「Antarctic Prion」の「Prion」という一風変わった名前は、ギリシャ語で「のこぎり」を意味する「prion」という単語に由来している。これは、海水からオキアミなどをこしとるのに役立つ、くちばしの縁のくし状の構造を指すものだ。

ナンキョククジラドリは、亜南極の島々に大きなコロニーを作って繁殖し、地面に開けた穴や岩の下に巣を作る。ブーベ島の氷に覆われていない地面は約7%と少ないため、営巣に可能な場所は限られているが、それをナンキョククジラドリはフル活用している。

繁殖期になると、この鳥の柔らかくフルートのような呼び声が島を満たす。夜になると、数千羽が波間で食料をあさる姿が見られることもある。

小型で目立たないが、これらの鳥は海洋の食物網で欠かせない役割を果たしており、南半球の海の健康度を測る上で重要な指標となっている。

forbes.com 原文

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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