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2025.08.22 11:00

監査人の情熱が「良き会社」の原動力――りそなグループ内部監査部が挑む未来づくり

金融大手のりそなグループは現在、内部監査人のキャリア採用に力を注いでいる。銀行経験の有無に関わらず、「内部監査人として専門性の高い人財」あるいは「専門性を高めることに意欲的な人財」を積極的に迎え入れるという。内部監査部で働く3人に歴史や文化、仕事の実際を聞いた。 


銀行の業務内容は拡大し、多様化を遂げ、複雑化する一方だ。業務にかかわるリスクを把握して予防や対策を講じるマネジメント機能をいかに高めていくか、健全な銀行経営を実現するためのガバナンス機能をいかに発揮していくか、金融機関としての信頼性や価値創造力をいかに構築していくかが問われ続けている。 

これらの「いかに」を常に思考しながら、アシュアランス(客観的な保証)やアドバイスの提供によって銀行経営に資する専門家集団が「内部監査部」である。

銀行の常識を問い直す文化の根底にあるもの

りそなグループには「ガバナンスの基礎として内部監査を重視する企業文化」が根づいているという。この文化を生み、育むことができたのは、なぜだろうか。「りそなホールディングス」および「りそな銀行」の内部監査部長を務める常木英一郎(以下、常木)に歴史を紐解いてもらった。

「内部監査の文化的な起点は、資本不足に陥ったりそな銀行が2003年に約2兆円の公的資金の注入を受け、実質国有化された「りそなショック」にさかのぼります。当時のりそなホールディングスの会長・細谷英二が、翌2004年に表明した『りそなSTANDARD(りそなグループ行動指針)』が、いまの企業文化の礎となっているのです」と常木は語る。

常木英一郎 内部監査部長
常木英一郎 内部監査部長

その冒頭に掲げられた前文には、こんな一節がある。

「法令やルールを守っていても、隠しごとや嘘、ごまかし、不透明な行動など、お客さまや社会の視点に立った企業活動ができなければ、社会から退場を求められます。今後もりそなグループが生き残り、そして持続的に成長していくためには、良きことを行う企業であること、そしてその企業で働く人は良き人間である必要があります。私たちは今こそ、過去の反省を踏まえ、一人ひとりがお客さまや社会の視点に立って、法令やルールだけでなく社会規範も遵守し、コンプライアンスのできた企業であり続けることを最も重要な課題として、企業倫理の向上に取り組んでいかなければなりません」

この理念が、現在の内部監査にも深く根づいている。

03年6月の公的資金注入を機に、りそなグループは05年3月末までの期間を「集中再生期間」と位置づけて抜本的な改革を実行に移してきた。主導したのは、JR東日本の副社長兼事業創造本部長を経て、りそなホールディングスの会長に就いた細谷だ。

国鉄の分割・民営化で「改革3人組」の参謀として活躍し、JR東日本で自動改札やビューカード、成田エクスプレス、駅ナカビジネスといった新規事業を手がけてきた細谷は、「りそなの常識は世間の非常識」という言葉を旗印に改革の手腕を発揮。その結果、「集中再生期間」の出口となる05年3月期には、傘下銀行の合算利益が5期ぶりに黒字化。過去最高益を記録するという成果を上げた。

りそな再生に心血を注ぎ続け、12年に逝去した細谷の哲学は、今も生きている。それどころか、進化を続けている。

「りそなSTANDARD」の前文で「企業倫理の向上こそが、最も重要な課題」と位置づけた細谷は、「内部監査が深い専門性と幅広い視座に裏づけられた仕事をしてくれるならば、これは経営者にとっても大変心強いもの」という言葉も残している。内部監査部からの進言を「りそな再生のドライバー」として頼りにしていたのだ。

改革の旗印は、現在も降ろされていない。内部監査部は常に新たな仲間を迎え入れながら、役割を果たし続けている。

進化を続ける内部監査部のカルチャー

内部監査部で上席監査員として働く石川寿美子(以下、石川)は、自治体の第三セクターでシステムインテグレーション業務を遂行した後、転職先の光学機器メーカーではシステムインテグレーションに加えて内部監査の任務を経験。自身のキャリアに光明を見出し、内部監査人として23年にりそなグループに入社している。

「金融機関出身ではない私を、りそなグループの内部監査部は温かく迎え入れてくれました。特に印象的だったのは、『外部から来た視点を通じて、自分たちの業務のあり方を見直す』という柔軟なマインドが根付いている点です。また、監査人としての専門性を高めるために、非常に熱心に学び続ける方々が多く、互いに助け合いながら成長を促進する文化があることを強く感じます」(石川)

外部出身者ならではの視点を生かした気づきや意見をもって議論に臨むことで、組織に貢献できるという手応えを感じながら働いているという。

石川寿美子 内部監査部 上席監査員
石川寿美子 内部監査部 上席監査員

鶴田のぞみ(以下、鶴田)は、大学卒業後の09年にりそな銀行に入社。支店で10年間個人営業を担当しながら、自ら監査人になることを志望してCIA(公認内部監査人)の資格を取得。社内公募制度に応募して、21年に内部監査部に異動している。

「普段の仕事において、これまでの経歴や年齢、性別といった背景にこだわらず、お互いを尊重しながらフラットに協力し合える関係性を私は大切にしています。チームのメンバー全員が『自分はチームのためにどう貢献できるか』を日々考えて、チームを支えるために懸命に行動しているからこそ、互いに成長し合えるりそなの文化が育まれているのではないかと感じています」(鶴田)

鶴田のぞみ 内部監査部 監査員
鶴田のぞみ 内部監査部 監査員

内部監査人のキャリアも人生も輝く制度設計とは

りそなグループでは、各分野の人財の専門性を高めるための「複線型人事制度」という制度を敷いており(りそな銀行・埼玉りそな銀行)、内部監査部門では監査人財コースの充実に注力してきた。この制度は、年齢や年次(社歴)に関わらず、専門性の発揮状況に応じて評価・処遇されるというものであり、キャリア形成の大きな柱となっている。

常木は、この制度が社員の自律的な成長を後押しする好循環を生んでいると語る。

「より高い専門性を発揮している社員は、年齢や年次に関係なく上位グレードで処遇されます。グレードごとに厳しい基準で認定されるからこそ、社員は自ら学び、学んだことを実践し、成果を挙げるという好循環が生まれているのです」

制度の運用を支えているのは、実務と直結した教育体制である。監査関連資格の取得支援をはじめ、部内で実施される内部監査の研修制度など、スキル向上のための仕組みが整っている。

その研修のなかでの発表を経験した鶴田は、自身の成長を実感できる機会でもあったと振り返る。

「発表するテーマについての理解が深まり、発表することによってプレゼン能力などが高まったと感じています」

学びを深めながら伝える力を養うという、双方向的な成長の機会が、日常の業務のなかに組み込まれている。こうした取り組みは、専門性を高め続ける文化の醸成にもつながっている。

「監査人財コース」に魅力を感じる社員は多く、特にキャリア採用者にとっては、安心して自らの道を築ける制度として高く評価されている。石川は、制度の存在がキャリア形成の明確な道標になっていると語る。

「外部から転職してきた私にとって、心強く感じたのは『監査人財コース』の存在です。自分が選んだコースできちんとキャリアを積んでいける制度があることの安心感は、本当に有難いもの。この制度により、予期せぬ異動などの心配がないわけですから。おかげでキャリアプランやライフプランに対して、常に前向きでいられるのです」

誰もが自分の意思で専門性を磨き、キャリアを形成していける環境。それが、りそなグループ内部監査部の強さであり、多様な人財が集い続ける理由となっている。

りそなは新たな監査人の視点や情熱を待っている

りそなホールディングスは、21年度に日本内部監査協会の「第35回会長賞」を受賞している。

この賞が贈られた理由は、「ガバナンスにおける内部監査の重要性を認識し、ガバナンス強化の一環として内部監査の高度化に向けて意欲的に取り組んでいること」であると常木は語る。

もちろん、りそなグループの内部監査部はこの受賞で満足するような組織ではない。従来のチェック機能にとどまらず、企業価値や顧客満足の向上に資する“価値創造型の監査”を目指している。

「これからの内部監査には経営戦略の高度化やお客さま満足度の向上に直結する視点が必要です。りそなが良くなり、お客さまが良くなることで、地域経済、ひいては日本経済の発展につながる——。私はこのように信じています。そこにたどり着くために監査人の一人ひとりが専門性を磨き、変化に柔軟な組織であり続けなければなりません。りそなには『挑戦する監査人を応援する制度的・精神的文化』が築かれていますので、私たちとともに未来のりそなを創っていただける人をお待ちしています。新たな監査人がもたらす視点や情熱により、りそなにもお客さまにも新しい価値がもたらされると私は信じています」(常木)

「内部監査部は、今後100年にわたってりそなが存続し続けるための機能を果たしていると私は信じています。100年後のりそなを、今から共に創っていける新しい仲間と出会えることを期待しています」(鶴田)

「私は、内部監査こそが会社と社会を動かしていく中心的役割を果たすべきだと考えています。内部監査の存在があればこそ、働く皆さんが自信をもって自分たちの仕事を進めることができます。結果として企業価値が高まり、社会への貢献度も高まっていくのです。そのために日々、私たち内部監査部は進化していく必要があります。これからジョインしてくださる方も共に進化していきましょう。りそなグループの内部監査部には、進化できる環境が整っています」(石川)

りそな銀行_内部監査人 求人情報
りそな銀行_内部監査人(デジタルユニット配属)求人情報


つねき・えいいちろう◎大学卒業後の1996年、りそな銀行(当時の大和銀行)に入社。営業店で主に法人渉外を担当する。40代前半で国立支店長に就任して以降、東京中央支店営業第三部長、東京ミッドタウン支店長、渋谷支店長を歴任。2025年4月、りそなホールディングス、りそな銀行の内部監査部長に就任。

いしかわ・すみこ◎自治体の第三セクターにてシステムインテグレーターとして勤務。転職先の光学機器メーカーではシステムインテグレーターのみならず、異動によって内部監査人としてのキャリアを積むことに。2023年、埼玉りそな銀行に入社。内部監査部テーマ監査グループに所属し、システム関連の監査を担当。

つるた・のぞみ◎大学卒業後、2009年にりそな銀行に入社。3つの支店で個人営業を合計10年間担当。支店で勤務しながらCIA(公認内部監査人)の資格を取得し、社内公募制度に応募して内部監査部に異動。内部監査部テーマ監査グループに所属し、アンチマネーロンダリング関連の監査を担当。

promoted by りそなホールディングス|text by Kiyoto Kuniryo|photographs by Shuji Goto|edited by Akio Takashiro