香港のフィンテック系スタートアップ、RD Technologies(RDテクノロジーズ)は7月30日、現地におけるステーブルコインの発行ライセンスの取得を目指す中で、投資家から約4000万ドル(約60億円)を調達したと発表した。同社は、香港の事実上の中央銀行にあたる、香港金融管理局(HKMA)の元総裁ノーマン・チャンが、2020年に設立した企業だ。
同社のシリーズA2ラウンドは、中国本土の保険会社「ジョンアン・オンライン・PアンドC ・インシュアランス(衆安在線財産保険)」傘下で、香港でデジタル銀行を運営するZAグローバルが主導した。また中国の投資会社の中湾国際(CHIF)、璀璨資本(Bright Venture Capital)、米国のデジタル資産特化ファンドHivemind Capital Partnersが参加。紅杉中国(旧セコイア・チャイナ)、中国の国有系証券会社である国泰君安国際(Guotai Junan International)のプライベートエクイティファンドも出資した。
RDテクノロジーズは、今回の新たな資金により、「安全性の高い企業向けのインフラを通じて、デジタル通貨取引と資産のトークン化の次の段階を推進する」と述べた。また同社は、この調達の一環として、ZAグローバル傘下のバーチャルバンクであるZAバンクとの提携に合意し、準備資産の保管管理など金融サービスにおけるステーブルコインの活用を模索する方針だ。
RDテクノロジーズ創業者のチャンは、2009年から2019年にかけてHKMAのトップを務めたほか、スタンダードチャータード銀行のアジア担当副会長としても知られていた。同社を現在率いるリタ・リウCEOは以前にアリペイの英国法人CEOを務めていた。
RDテクノロジーズが企業向けに開発したモバイルウォレットは、国内および越境決済、複数の法定通貨間での為替を可能にしている。直近の資金調達は2024年9月のシリーズA1ラウンドで、HSG、Hivemind Capital、米国のブロックチェーンスタートアップAptos Labsなどから780万ドル(約12億円)を調達していた。Aptos Labsは、米メタの失敗に終わったステーブルコイン「Diem」プロジェクトに携わった元社員たちが設立した企業だ。
香港でステーブルコイン規制の枠組みが発効
今回の資金調達は、RDテクノロジーズが香港でステーブルコインの発行ライセンスを取得するための計画の一環として行われた。香港では8月1日から、新たなステーブルコイン規制の枠組みが発効し、法定通貨と連動した暗号資産の発行者には、HKMAからのライセンス取得が義務付けられている。このライセンスの取得には、ジャック・マーが支援するアント・フィナンシャル、Eコマース大手の京東集団(JD.com)など50社以上が関心を示していると報じられている。
RDテクノロジーズは昨年、この申請の成功の可能性を高めるために、HKMAが立ち上げたステーブルコイン規制の試験運用制度に参加し、越境決済や決済処理といった用途においてステーブルコインの実証実験を行っていた。
香港ではステーブルコイン関連の規制の進展に加えて、ビットコインが7月初めに12万3000ドル(約1845万円)の過去最高値を記録したことを受けて、暗号資産に対する投資家の関心が再燃している。香港市場に上場するデジタル資産関連株の多くも、ここ数カ月で急騰している。
中でも国泰君安国際は、香港で暗号資産取引を提供するため当局の承認を獲得したと6月に発表し、株価が400%以上も急騰した。以前からRDテクノロジーズに出資していた衆安在線財産保険の株価は、5月に香港当局がステーブルコインの規制の枠組みを承認したことを受けて、約70%上昇していた。
(forbes.com 原文)



