北米

2025.07.31 14:30

トランプの利下げ圧力受けるFRB、金利据え置き 32年ぶり理事2人が反対

米連邦公開市場委員会(FOMC)後、記者会見で質問に答えるジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長。2025年7月30日撮影(Chip Somodevilla/Getty Images)

米連邦公開市場委員会(FOMC)後、記者会見で質問に答えるジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長。2025年7月30日撮影(Chip Somodevilla/Getty Images)

米連邦準備制度理事会(FRB)は7月29〜30日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の据え置きを決めた。ただ、32年ぶりに理事会メンバー2人の反対者が出た。ドナルド・トランプ米大統領は利下げするよう圧力をかけている

理事2人が反対

FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の4.25〜4.5%で維持することを、9対2の賛成多数で決定した。この水準は2024年12月以来維持されている。アドリアナ・クグラー理事は欠席し、投票しなかった。

FOMCは声明文のなかで、インフレ率を2%に落ち着かせるという目標を重ねて強調し、「経済見通しに関する不確実性は依然として高い」とした。

FRBのジェローム・パウエル議長は30日の記者会見で、米経済は「堅調な状態」にあると述べ、国内総生産(GDP)成長率が予想を上回っていることや、労働市場の状況はバランスがとれ、雇用の最大化というもう一つの目標に合致しているように見える点にも言及した。

パウエルはトランプの関税政策について、一部の商品の価格に影響を与え始めているものの、経済全体やインフレへの影響については「まだはっきりしない」との認識を示した。また、FRBは現行の金融政策によって「経済の動向にタイムリーに対応していくのに良い態勢にある」とも語った。

このところ利下げを支持する意向を示唆していたミシェル・ボウマン金融監督担当副議長とクリストファー・ウォラー理事は、金利据え置きに反対票を投じ、0.25ポイントの利下げを求めた。FRB理事(正副議長も含まれる)2人の反対は1993年以来32年ぶりだ。

ボウマンは先週、「インフレ圧力が引き続き抑制されているのであれば」、早ければ今回のFOMCで利下げを支持する考えを示していた。ウォラーも「インフレが目標水準に近く、上振れリスクが限定的なのなら、労働市場が悪化するまで待つべきではない」と発言した。

モルガン・スタンレーは先週のリポートで、パウエルは利下げ見送りの決定で「忍耐を強調」するとともに、トランプの関税が経済見通しを混乱させる「相当な不確実性」を指摘するだろうと予想していた。

バンク・オブ・アメリカもパウエルは利下げを急がないとの見方を示す一方、FRB内の意見対立は「反対票の増加傾向につながるおそれがある」とし、分裂が進めばFRBは「コンセンサスを得にくく、対立の激しい組織になりかねない」と警鐘を鳴らしていた。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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