キャリア

2025.08.01 11:00

趣味を副業に、情熱を収入に──2人の起業家から学ぶ成功への4ステップ

Fuse / Getty Images

Fuse / Getty Images

多くの成功した起業家にとって、物語の始まりはベンチャーキャピタルでも、ビジネスプランでも、MBAの学位でもなかった。始まりは副業、つまり、空き時間に夢中で取り組んでいたことだった。

チャウドリー・ガフールが立ち上げたThe Masculine Homeは、男性向けのスタイリッシュな空間を創り出したいという個人的な探求から始まった。現在では業界からも注目されるデザインブランドとなり、有料顧客も獲得している。コートニー・イエーガーは2019年にThe Toxを創業し、リンパドレナージュを中心とするパーソナルウェルネスの実践からスタートした。今ではカリフォルニア州、ニューヨーク州、ナッシュビル、マイアミにフランチャイズ店舗を展開し、著名人を含む多くの顧客を抱えるほか、製品ラインの拡大も進めている。

このように、副業は次の大きなチャンスになり得ることを、彼らの事例は証明している。

なぜ副業の方がビジネスとして成功しやすいのか

趣味をビジネスにしたものは、みずからが直面した問題を解決するという視点から出発するため成功しやすい。市場調査だけを基に始めるビジネスとは異なり、情熱から生まれるプロジェクトは、真に実体験に根ざしている。

チャウドリーがThe Masculine Homeのためにアイテムをキュレーションしていた当初、彼はトレンドを追っていたのではなかった。自分自身の課題を解決し、その解決策を同じ美意識を持つ人たちと共有していたのである。

「私はもともとフルタイムの不動産エージェントで、YouTubeチャンネルは不動産ビジネスの成長のために開設したもので、デザインチャンネルにするつもりはなかった」とチャウドリーは語る。「最初の動画は高級住宅の内覧ツアーで、私が感銘を受けたデザイン要素を紹介していた。視聴者は、物件を売ることではなく、優れたデザインが与える感情に焦点を当てた私の視点に共感してくれた」。

動画の人気が高まるにつれ、彼はデザインの視点に注力し始めた。「すぐに全米から連絡が来るようになった。家を買いたいのではなく、家をデザインしてほしいという依頼だった。あるクライアントは、私にノースカロライナまで飛行機で来てほしいと言った。彼は、あなたのような視点を持つ人は他にいないと言ってくれた。その2週間後、私はオンラインデザインサービスを立ち上げた」。

コートニーもまた、収益を目的にしてトレンドを追ったわけではなかった。「最初は、自分の見た目をよくしたいと思って、自宅でリンパドレナージュを始めた。でも驚いたのは、身体の調子が見違えるように良くなったことだった」と彼女は振り返る。「エネルギッシュになり、消化も改善され、身体が本来持つ力のすごさに魅了された。自分の健康がここまで変わるなら、同じ方法で多くの人を助けられるはず。そう確信したことが、すべての原点だった。このような体験を、自分だけのものに留めておくことなどできなかった」。

こうした本物の体験こそが、広告費では買えない顧客とのつながりを生み出すのである。

副業から本業へ

多くの起業家は、まず創造性を発揮する場として副業を始め、本業の傍らで続けている。だが、継続的な努力によって、そのプロジェクトがキャリアを決定づける本業へと進化するのだ。

チャウドリーの場合、The Masculine Homeは不動産業と並行してコンテンツ制作として始まった。転機が訪れたのは、市場からのニーズを無視できなくなったときである。

「まだ不動産業に専念していた頃、ある男性が私のウェブサイトを通じて連絡してきて、『住宅を売っていることは知っているし、デザインサービスを提供していないことも分かっている。でも、お願いできないだろうか』と言ってくれた」と彼は語る。「彼は他の人にも頼むつもりはあるが、私が第一希望だとも言っていた。こんな問い合わせが、半年間続いていた。でも私はその声に応えなかった。そして依頼を断った後、ふと聞いてみた。『ちなみに、他のデザイナーにはいくらと言われたのか?』と。すると、彼は1部屋あたり2500〜3000ドル(約38~45万円)と答えた。その時、もしこれをスケールすれば、大きな可能性があると私は気づいた」。

コートニーはまず自宅でマンツーマンのセッションを始め、その後スタジオを開設した。市場のニーズに気づいたのは、他の女性たちとの自然な会話からだった。

「日常の会話の中で話題に出したら、ほとんどの女性が同じ悩みを抱えていた。慢性的な膨満感、消化不良、見た目にも調子が悪いと感じていた」と彼女は説明する。「それで、これはニッチな健康対策ではなく、もっと大きな話なのだと気づいた。本気で取り組まなければならないと感じた」。

この2人の例からも分かるように、リスクを抑えて試行し、ファンを築き、着実に拡大していくことは十分に可能なのである。

次ページ > 副業を本格化させるための4ステップ

翻訳=江津拓哉

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事